1164 チャート事典

  [1164] イールド・スプレッド


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意味

図は市場データです。市場データは個別銘柄の株価データとは別にあります。(市場データの仕様を参照。)

これら市場データに関係する加工を条件表に設定するには、市場データが整備されていなければなりません。(市場データはマスターネットは送信していないので、弊社HPからダウンロードするか、手入力をして下さい。)

使用市場データを利用する加工は以下のものがあります。
  1. 値上銘柄数
  2. 値下銘柄数
  3. 騰落レシオ
  4. 値付き率
  5. イールド・スプレッド
  6. イールド・レシオ
  7. 日経PER
  8. 短期金利
  9. 長期金利
  10. 日経利益
本章は「イールド・スプレッド」の設定のしかたを説明します。投資による収益は@インカムゲインにAキャピタルゲインを加えたものからBコストを引いたものです。各投資による収益は以下のようになります。
  1. 預金 =@利子率+Aなし−B税金
  2. 不動産=@賃料+A値上り益−B手数料・税金
  3. (株式)=@配当金+A値上り益−B手数料・税金
  4. 株式 =@1株利益+A値上り益−B手数料・税金
規準になるのは、無リスクの国債(長期金利)の利子率です。これを基準にして、株式が有利なのか不動産が有利なのかを、投資家は毎日判断し、資金の移動を起こします。

株式の収益については、3.と4.の2通りが掲げてあります。これについて述べると、株式の@インカムゲインは短期的には配当金ですが、最終的には会社が上げた利益は株主に還元されるので、「一株当り利益」をインカムゲインとします。株価が 600円している企業が一株当り利益12円を上げているとき、投資家が得る収益率は、12÷600X100=2.0%であることになります。この収益率を「株式益回り」と呼んでいます。

いま5年間の投資を考えるとして、年間の収益率以下のような収益であったとしましょう。
  1. 預金 =@1.5%(利子率)
  2. 不動産=@4.0%(家賃の収益率)+A-3.0%(値上り率)
  3. 株式 =@2.5%(株式益回り)+A1.5%(値上り率)
見かけ上の収益は、不動産(4.0%)→株式(2.5%)→預金(1.5%)ですが、総合的な収益は株式(4.0%)→預金(1.5%)→不動産(1.0%)の順になります。当然に収益率のよい株式がより人気になるはずです。ところが株式が上昇しないのは、Aの値上り率の予想が実際にはこれより低いからです。

株式や不動産が預金に比べて特に有利でないと判断されるのは、結局のところ株式や不動産の総合の収益率が預金と変わりがないからです。となると、世間は以下のような収益の予想をしていることになります。
  1. 預金 =@1.5%(利子率)
  2. 不動産=@4.0%(家賃の収益率)+A-2.5%(値上り率)
  3. 株式 =@2.5%(株式益回り)+A-1.0%(値上り率)
利子率・家賃の収益率や株式益回りは、現に発生していることなので、調べればすぐにわかります。わからないのは値上り率の部分でこれは予想の分野です。株式の値上り率は、はじめは年1.5%としましたが、実は大多数は-1.0%(の値下がり)を予想しており、したがって株式の総合の収益率は、@2.5%(株式益回り)+A-1.0%(値上り率)=1.5%となって、預金の1.5%とバランスしているわけです。問題は値上り率の予想が正しいのかどうかです。

通常株価は、経済の成長と共に上昇します。経済成長率が3%であれば株価も年に3%上昇し、経済成長率が-1%であれば株価は1%下落します。ただ経済成長率は毎年変動しますから、一般には、向こう5年〜10年の潜在成長力を経済成長率とみなしています。という理屈によって
(長期金利-株式益回り)は「イールド・スプレッド」と呼びますが、その内容は潜在成長率です。例では長期金利(1.5%)、株式益回り(2.5%)なので、潜在成長率は(-1.0%)となります。潜在成長率は日々変化するものではありません。その国の経済成長の可能性ですから、一朝にして潜在成長率が2%から0%に低下するということはありません。ということは
長期金利−株式益回り=潜在成長率(短期的に一定)であるので、長期金利が上昇すれば株式益回りも上昇し、長期金利が低下すれば株式益回りも低下する、ということになります。株式益回りは(1株利益)÷(株価)ですから、株式益回りが上昇するということは株価が下落するということで、株式益回りが低下するということは株価が上昇するということです。すなわち
  1. 長期金利が上昇すると、株価は下落し
  2. 長期金利が下落すると、株価は上昇する
という関係にあります。このとき長期金利の動きと株価の動きは完全には一致せず、あるときは株価の上昇や下落が長期金利の変化に比べて大きすぎることがでてきます。潜在成長率を基準にすれば株価がブレ過ぎかどうかの判断ができます。

1989年のバブル以前の潜在成長率は、だいたい3.5%程度であるとされました。この時代は とされました。バブル崩壊後は潜在成長率は2.0%程度に下げられ、デフレ経済にはいった現在 では0%になったようです。現在では となっているようです。株式受難の時代です。


規則 (イールド・スプレッド)

元データ市場データ
副データなし
加 工イールド・スプレッドを計算する。(イールド・スプレッド=長期金利-株式益回り)
パラメータなし
単 位%(0〜999)
使用例・イールド・スプレッド



計算方法

「イールド・スプレッド」は、長期金利−株式益回りです。長期金利は、市場データの「長期債」であり、株式益回りは、市場データの「PER」の逆数です。
  1. No.15の日の市場データの長期金利(A)は146となっていますが、正しくは2桁落とした1.46%です。また市場データのPER(B)は3523となっていますが、正しくは2桁落とした35.23倍です。株式益回りはPERの逆数なので、1÷35.23X100=2.84になります。ここからイールドスプレッド=1.46-2.84=-1.38と計算されます。

  2. No.14の長期金利は1.45%。PERは35.67倍なので株式益回りは2.80%。ここからイールドスプレッド=1.45-2.80=-1.35と計算されます。

  3. No.1の長期金利は1.59%。PERは42.68倍なので株式益回りは2.34%。ここからイールドスプレッド=1.59-2.34=-0.75と計算されます。



設定例@ イールド・スプレッドの設定



設定のポイント

No.3線 市場(データ)のイールド・スプレッドを計算する。
No.4線 イールド・スプレッド(No.3線)をグラフで見やすくするためX100倍して、紫色で描画する。




グラフ@

図は日経平均の陰陽足とイールド・スプレッド(紫色)です。

図ではイールド・スプレッドが-1.0%の水準に青色線を引いていますが、今のところ市場は潜在成長率を-1.0%と予想しており、イールドスプレッドが-1.0以下になったときは割安感がでています。



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