1083 チャート事典

  [1083] 回帰係数


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意味

2つのデータがあるとき、この2つがよく似ているかいないかを計る物差しに、1081 相関係数があります。相関係数は2つのデータがどの程度似ているかを知ることができます。

回帰係数は、相関係数とよく似ていおり(計算式もこれに近い)、2つのデータの比例の関係を数値で表します。図はTOPIX(緑色)とニチロ(紺色)の株価の推移です。回帰係数は、TOPIXが1ほど変化したときに、ニチロはごのくらい変化するのかを計算します。

図で、
  1. TOPIXは前日の997P→Aの日の1001Pへ、+4Pほど上昇しています。
  2. ニチロは前日の156円→aの日の154円へ、-2円ほど下落しています。
  3. 前日からの変化では、TOPIXが+4に対しニチロは-2です。TOPIXが+1ならニチロは-0.5(-2÷4=-0.5)の比率です。

    これをもって「TOPIXが1P変化(上昇)したら、ニチロは-0.5円変化(下落)する関係にある」と言ってよいでしょうか。そうではありません。

  4. TOPIXの25日前のBの941P→Aの日の1001Pへは、+60Pほど上昇しています。
  5. ニチロの25日前のbの137円→aの日の154円へ、+17円ほど下落しています。
  6. 25日前からの変化では、TOPIXが+60に対しニチロは+17です。TOPIXが+1ならニチロは+0.28(17÷60=0.28)の比率です。

    これをもって「TOPIXが1P変化(上昇)したら、ニチロは+0.28円変化(下落)する関係にある」と言ってよいでしょうか。1.〜3.の前日からの変化を見るよりはましですが、この数字は25日前と当日の株価に左右されます。

  7. 25日間全部のTOPIXとニチロの株価の変化を全部取り入れた関係は「回帰係数」でわかります。

yとxの2つのデータの関係を調べるには、右図のように、@yが154円のときxは1001、Ayが156円のときxは997、Byが137円のときxは941、のように打点(図の赤丸)していきます。打たれた点は散らばりますが、各点にもっとも近いところを通る1本の直線を引くことができます。(図の青線)

この直線を回帰直線と呼びます。直線は、y=Ax+Bの式で表されます。式のAはこの直線の傾きを表すもので、「回帰係数」と呼ばれます。上の例で、TOPIX(x)が1変化したとき、ニチロ(y)が0.28変化するという関係は、y=0.28x+B で表現できます。 xが10変化すれば、yは2.8 (0.28X10=2.8)ほど変化します。

「回帰係数」は、直線の傾き(yとxの変化の比率である)を計算します。






規則 (回帰係数)

元データ株価
出来高
信用買残・売残
共通銘柄終値
no.1〜50線
副データ元データと同じもの
加 工副データが1変化したとき、元データはいくら変化するかの「回帰係数」を計算する
パラメータ×日 回帰係数
単 位元データの単位。(だいたいは-100〜100を予定している)
使用例・A銘柄とB銘柄の株価の回帰係数・A銘柄の前日比変化率とB銘柄の前日比変化率の回帰係数(ベータ値)




計算方法

図は、データ数がn個のときの回帰係数を求める算式です。xとyの2つのデータが必要です、上図のTOPIXとニチロの回帰係数を求めるときは、例えばxがTOPIXの株価、yがニチロの株価(この逆でもよい)として計算すればよいのです。


表のような10日間の株価があります。xは大林組の株価、yは大成建の株価です。ここから5日間の回帰係数を計算してみましょう。
  1. No.6の日の回帰係数を求めるために、上の算式に必要な数値を計算します。
    • Σx =No.10〜No.6のxの合計値。(497+486+488+498+478=2447
    • Σx・x =No.10〜No.6のx・xの合計値。(497x497+486x486+488x488+498x498+478x478=1197837)
    • Σy =yの合計値。1024
    • Σy・y =y・yの合計値。209742
    • Σx・y =x・yの合計値。(497x207+486x202+488x206+498x207+478x202=501221

  2. これで上図の回帰係数に必要な数値はそろいました。これを代入すると、
    • 分子は、(501221-2447x1024÷5)=75.4
    • 分母は、(1197837-2447X2447÷5)=275.2
    • よって、回帰係数は75.4÷275.2=0.274。 No.6の日の5日回帰係数は-0.12と計算されます。

  3. 同様に、No.9〜No.5の5日間のΣx,Σy,Σx・x,Σy,Σy・y,Σx・y を計算し、No.5の日の回帰係数を求めます。




設定例@ 25日回帰係数の設定



設定のポイント
No.1線 選択した銘柄の株価を1日平均し、紺色で描画する。(1日平均としたのは折れ線で描画するため)
No.2線 C1002を緑色で描画する。C1002は「共通銘柄」」のTOPIX。
No.3線 株価とNo.2線(C1002)の25日回帰係数を計算する。
No.4線 No.3線(回帰係数)を100倍して、赤色で描画する。(100倍したのは、動きを大きく表すため)


No.3行の元データは「株価」、副データは「C1002」になっています。この場合は、y=Ax+Bのyが「株価」、xが「C1002」になります。回帰係数は、xのC1002が1変化したら、yの株価がいくら変化するかを表します。

No.3行の元データを「C1002」、副データを「株価」と逆に設定すると、この場合は、y=Ax+Bのyが「C1002」、xが「株価」になります。回帰係数は、xの株価が1変化したら、yのC1002がいくら変化するかを表すことになります。








グラフ@

図は 1331 ニチロ とTOPIXとの回帰係数です。ニチロの株価は150円くらい、一方TOPIXの株価は1000Pくらいなので、TOPIXが1ポイント変化してもニチロはそうは変化しません。

最新日の回帰係数は0.22になっていますから、最近の25日間では、TOPIXが100P上昇したら、ニチロは22円上昇する比率で株価が変化したことがわかります。






図は 6701 NEC とTOPIXとの回帰係数です。NECの株価は850くらい、一方TOPIXの株価は1000Pくらいなので、株価の水準は似ています。最新日の回帰係数は1.41になっています。

最近の25日間では、TOPIXが100P上昇したら、NECは141円上昇する比率で株価が変化したことがわかります。回帰係数が1.0以上だと、TOPIXよりもその銘柄の株価のほうが大きく動き、1.0より小さいとその銘柄はTOPIXほどには動かないということです。

回帰係数が1.0以上になるかならないかは、その銘柄の株価水準に依存します。低位株は1.0以下になるし、TOPIXの1000Pより株価が高い3000円の銘柄は、回帰係数は2.0とか3.0とか大きくなるのは当然です。

そこで(A銘柄の株価)と(TOPIXの株価)の関係を調べるのではなく、@A銘柄が前日より変化した率と、ATOPIXが前日より変化した率との関係を調べれば、株価水準に関係なく、TOPIXによく反応する銘柄・反応しない銘柄・逆行する銘柄などがわかります。次の設定例Aで説明します。


設定例A 25日間の収益率の回帰係数の設定(ベータ値)



設定のポイント
No.1線 選択した銘柄の株価を1日平均し、紺色で描画する。(1日平均としたのは折れ線で描画するため)
No.2線 C1002を緑色で描画する。C1002は「共通銘柄」」のTOPIX。
No.3線 No.1線(株価)の前日比変化%を計算する。
No.4線 No.2線(C1002。TOPIX)の前日比変化%を計算する。
No.5線 No.3線(株価の変化率)とNo.4線(C1002の変化率)の25日回帰係数を計算する。
No.6線 No.5線(回帰係数)を100倍して、赤色で描画する。(100倍したのは、動きを大きく表すため)

設定例@では、株価の水準の変化を注目しました。すなわちTOPIXが1P変化したとき、A銘柄は何円変化するかでした。この場合はA銘柄の株価水準によって回帰係数は大きくなったり小さくなったりして、銘柄の比較ができません。

設定例Aでは、株価の前日からの変化率に注目します。すなわちTOPIXが1%変化したとき、A銘柄は何%変化するかです。変化率は収益率といってもよいでしょう。この場合の回帰係数は、TOPIXの収益率に対して、その銘柄は何倍の収益率になるのかを表しています。このときの回帰係数を「ベータ値(あるいはベータ係数)」と呼ぶことがあります。ベータ値は収益率に注目しているので、銘柄の株価水準に関係がありませんから、TOPIXに比べてA銘柄は収益率が高い(リスクも高い)が、B銘柄の収益率は低いなどの比較ができます。

グラフ@

図は 1331 ニチロ とTOPIXの「収益率」の回帰係数です。

最新日の収益率の回帰係数(ベータ値)は0.78になっていますから、最近の25日間では、TOPIXが1%上昇したら、ニチロは0.78%上昇する比率で株価が変化したことがわかります。

高いときは1.26の数値を取っていますから、この時期のニチロはTOPIXより1.26倍の上昇をしたことがわかります。


図は 6701 NEC とTOPIXとの収益率の回帰係数です。最新日の回帰係数は1.42になっています。TOPIXが1%上昇(下落)すると、NECは1.42%上昇(下落)する関係にあります。収益率の回帰係数(ベータ値)が大きいものほど、TOPIXに比べて利益がでるということでもありますが、逆にTOPIXに比べて大きく損失がでるということでもあります。ベータ値はリターンを表すと同時にリスクも表現しています。



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