1060 チャート事典

  [1060] ワコーVR


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意味

チャートには、大別すれば@トレンドを捉えようとするものと、A株価の行き過ぎを捉えようとするもの、の2つがありますが、その信頼性を高めるものは出来高です。いくら上昇トレンドに入ったと見えても、出来高が少なければ上昇トレンドは持続しにくいものです。この2つのチャートを見るときはできるだけ出来高に関係するチャートを併用すべきです。

出来高に関係するチャートとしては、
  1. 出来高の水準を見るもの
    ・出来高1日の棒グラフ(加工は「加工なし」)
    ・出来高のX日平均(加工は「平均」)
    出来高回転率

  2. 出来高の変化を見るもの
    ・出来高の前日比(出来高の過去比率
    出来高倍率
    ・V相対力(相対力の設定例)

  3. 株価の変化と出来高の増減を見るもの
    ワコーVR
    大和VR
    ・OBV線(+−符号の設定例)
などがあります。3.は株価の上昇・下落と出来高を関連づけているので、そのチャートの形は株価の動きと同じようになります。本章のワコーVR(ワコー・ボリュームレシオ)はここに分類されます。

図は 6702 富士通 の25日ワコーVRです。図のように、株価が安ければVRの水準は低く、株価が高ければVRの水準は高くなっています。この意図するところは、出来高を利用して株価の行き過ぎを見ようとする「逆張り」です。

図の株価がピークのcのVRは+58.0、ボトムのdのVRは-40.1となっています。ただし、押し目bは-13.0、eの戻りは+2.9と中途半端であり、fの-48.3は下落の途上であるなど、正しく株価の動きをとらえているとはいえません。

株価のピーク・ボトムをとらえきれていない原因は、計算式で使うパラメータ(期間)にあります。25日ワコーVRは25日間のうちでの株価の変化と出来高の関係ですから、25日を超える波動が現われると、その有効性を失います。c→dへは24日間の下落であったので、うまくボトムdをとらえることができました。しかしピークから25日を超えたfで、VRは最低水準になり(計算式から当然の結果だが)、そこからさらに株価が下落したのでダマシになっています。

規則 (ワコーVR)

元データ出来高
副データ 
加 工一定期間の(陽線の日の出来高-陰線の日の出来高)÷出来高x100
パラメータ×日のワコーVR
単 位%(-100〜+100)
使用例・25日ワコーVR
・75日ワコーVR


計算方法

ワコーVRは次の算式によって計算します。

n日のワコーVR=(A-B)÷C×100 (ただしAは陽線の日の出来高合計。Bは陰線の日の出来高合計。Cはn日間の出来高合計。)

株価の「12日ワコーVR」を計算してみましょう。 図のようなNo.14〜No.1の14日間の株価があります。
  1. 当日が陽線であるか陰線であるかを決めるために、(終値-始値)の計算をします。この値がプラスであれば陽線、マイナスであれば陰線です。(「+−」欄に表示されています。)

  2. No.14〜N0.3の12日間のうちの陽線の日の出来高を合計します。陽線の日は、No.14,13,12,7,4,3でこの日の出来高を合計すると42050(千株)です。

  3. No.14〜N0.3の12日間のうちの陰線の日の出来高を合計します。陰線の日は、No.11,10,9,8,6,5でこの日の出来高を合計すると55818(千株)です。

  4. No.14〜N0.3の12日間の出来高を合計します。12日間の合計は97868(千株)です。

  5. No.3の日のワコーVRは、(42050-55818)÷97868X100=-14.1です。同様にしてNo.2のワコーVRは、(32463-58522)÷90985X100=-28.6となります。

陽線の日の出来高は上昇エネルギーを表し、陰線の出来高は下落のエネルギーを表すとすれば、算式からわかるように、ワコーVRの特徴は上昇エネルギーと下落エネルギーの比較をすることにあります。毎日が陽線であれば、VRは100%になり、毎日が陰線であればVRは-100%になります。




設定例@ 25日ワコーVRの設定



設定のポイント
No.3線 25日ワコーVRを自動色で描画する。
No.4線 75日ワコーVRを赤色で描画する。
No.5線 出来高1日を淡灰色で描画する。


グラフ@

「25日ワコーVRの設定」のグラフは図のようになります。紺色が25日ワコーVR、赤色が75日ワコーVR。

出来高を指数にしたチャートで注意すべき点は、「出来高の変化は株価に比べてはるかに大きい」ということです。図のAの日の出来高は5898千株あります。bの日の出来高は571千株ですから約10倍の出来高です。1か月のうちで株価が大きく変化してもせいぜいが2倍ですが、出来高は簡単に10倍になり1/10になります。

ワコーVRのように25日間とかの期限がある出来高の指数はこの出来高の急激な増減の影響を強く受けることに注意して下さい。例えば図のbで、ワコーVRは急落していますが、これはbの日の出来高によるものではなく、aの大出来高の日から25日が経過して、bの日のワコーVRにはaの日の出来高が含まれなくなったためです。同様にcで75日ワコーVR(赤線)がガクンと落ちていますが、aの日から75日が経過したためです。

株価のピーク・ボトムをとらえようとするならば、当日の出来高が敏感に反映されなければなりませんが、この例では25日前、75日前の出来高が重大な影響を与えており、特にボトムをつかむことはワコーVRでは限界があります。(これは次章の大和VRも同じです。)この2つのチャートを使うときは、常に今日の指数の低下は過去の大出来高の影響によるものではないか、の注意を払わねばなりません。




設定例A 平滑化した25日ワコーVRの設定

過去の影響をできるだけ押さえ、今日の出来高をできるだけ反映させるためには、相対力や平滑平均で用いた連続的(再帰的)な計算方法をとるのがよいでしょう。あるいはOBVのように期間を限定しないものも、過去の影響がないので安心して使えます。 そこで、平滑平均の算式を使って、平滑化したワコーVRの設定をしてみました。



設定のポイント
No.3線 始値を取り出す。
No.4線 終値(株価とは終値のことである)-始値(No.3線)の差を計算する。(陽線・陰線の判定のため)
No.5線 No.4線がプラス値なら+1、マイナス値なら-1を与える。(「+−符号」)。
No.6線 出来高にNo.5線(+1か-1)を掛ける。(陽線なら出来高はプラス値になり、陰線なら出来高はマイナス値になる。)
No.7線 No.6線の25日平滑平均を計算する。
No.8線 出来高の25日平滑平均を計算する。
No.9線 No.7線(陽線出来高-陰線出来高の平滑平均)をNo.8線(出来高の25日平滑平均)で割る。
No.10線 No.9線にX100倍すれば、これが平滑化したワコーVRである。



グラフA

「平滑化した25日ワコーVRの設定」のグラフは図のようになります。紺色が25日平滑ワコーVR。

グラフ@のワコーVRと右図を比べると、a,dは両図ともにピーク・ボトムを正しく検出しています。(細かくいうとdでは平滑化のほうがボトムの日に最低になっており、ワコーVRはこれより2日早く最低値になっている)

違うのはbで、ワコーVRは急落して、あたかも買い場であるかの水準へ低下しているのに対し、平滑化のほうは、低下はよっくりと小巾になっており、25日前の大出来高の影響をほとんど受けていません。平滑化のほうが過去の影響がないので安心して使えるようです。



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