1025 チャート事典

  [1025] HSボラ


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意味

株価はある時期には大きく上昇し、ある時期には大きく下落し、ある時期には小動きとなる、ということの繰り返しです。株価がどれくらい激しく動いているのかをみるために、前章の変動率や本章の「HSボラ」があります。

ボラとはボラティリテイの略称で、ボラティリティは変化率のことです。HSはヒストリカルの略称ですから、HSボラとは「過去の変化率」といった意味です。

グラフは5336 INAXです。紺色の線は25日HSボラですが、比較のために前章の25日変動率を赤線で併記しています。どちらも一定期間の株価の変動に注目していますから、株価が大きく上昇したり、大きく下落したときの数値は大きくなり、株価が小動きのときの数値は小さくなります。

変動率は前章で述べたように、一定期間の株価の高値と安値の差を変動巾であるとしますから、新高値あるいは新安値になったときに、変動率はすぐに大きくなります。これに対して、HSボラは下の計算で説明しているように、一定期間の1日ごとの変化率の平均ですから、例えれば、変化率は仲値線、HSボラは平均線のような性格を持ちます。変動率のボトムa・cはHSボラのa'・c'より早く現われ、ピークbはHSボラのb'より早く現われていることがわかります。

規則 (HSボラ)

元データ株価
出来高
信用買残・売残
共通銘柄終値
No.1〜No.150線(但し数値が0またはマイナスのものは使えない)
副データ 
加 工一定期間のHSボラを計算する
パラメータ×日のHSボラ
単 位%(0%〜999%)
使用例・株価の25日HSボラ
・出来高の5日HSボラ


HSボラの計算式は図のようになります。例えば26日間のHSボラは、
  1. 当日株価÷前日株価のLog(自然対数)を計算し、%表示をするためにX100倍する。
  2. この値の2乗値を26日間合計し、26で割って1日あたりの2乗値を計算する。
  3. 年率換算するためにx250(立会い日数)をかけて、平方根をとれば、26日間のHSボラとなる。

計算方法

株価の5日変動率を計算してみましょう。

図のような10日間の株価があります。(「株価」の場合は終値ベースです。ザラバの高値・安値は使いません。) HSボラを計算するには、
  1. 毎日の@前日と当日の変化率を計算し、Aこのlogを取り、Bこれを100倍します。
    1. No.9の変化率は(No.9の株価)÷(No.10の株価)=235÷239=0.9832
    2. 0.9832のlogを取ると、log(0.9832)=-0.0168
    3. これを100倍して、-1.68 (=-1.7とlog()欄に表示されている)
    4. No.8は、log(234/235)*100=-0.4
    5. No.7は、log(234/234)*100=0.0
    6. No.6は、log(227/234)*100=-3.0
    7. No.5は、log(236/227)*100=3.9

  2. ついでCこれを2乗します。No.9なら、-1.68X(-1.68)=2.82です。(No.9〜No.1の2乗値は、図の2乗値欄表示されています。No.9は2.8と表示されています。)

  3. 2乗値の5日間の合計を求め、5で割って平均値を計算します。No.9〜No.5の日の2乗値の合計は(2.8+0.2+0+9.2+15.1=)27.4となり、平均値は27.4÷5=5.5となります。

  4. No.5の2乗値の平均は5.5であったので、年率換算するために250倍し、その平方根を計算したものが、No.5の日のHSボラです。5.5X250のルート(平方根)=37.0。

まず面倒な計算です。特にlogの計算はどのような数値になるのかが感覚としてわかりにくいでしょう。そこで右表を掲げておきます。

右側の数値はlog(N)のNです。1とは、前日株価が500円で当日株価が500円と変化なし(500/500=1.00)のときです。log(1)=0.0000で、X100倍しても0.0000です。

1.01とは前日株価が1%上昇したときで、log(1.01)*100=0.9950です。表みると上昇率が1%とか2%のように小さいときは、logX100の値もほぼこの数値に見合っています。(1.01(1%高)のときは0.9950、1.02(2%高)のときは1.98038、1.03(3%高)のときは2.9559のように)

ただ上昇率が大きくなるにつれて、この関係はあてはまらなくなります。1.50(50%高)のときは40.5465となり、2.00(100%高)のときは69.3147です。

株価が下落したときは、マイナス値になります。500円→495円になったときの変化率は、495/500=0.99ですが、このときlog(0.99)x100=-1.0050になります。








設定例@ 25日HSボラを描画する設定



設定のポイント
No.3線 株価の25日HSボラを計算し、紺色で描画する。


グラフ@

設定例@「25日HSボラの設定」のグラフは図のようになります。紺色がHSボラの線です。a・b・dのHSボラは40%になっています。これはこのあたりの25日間の平均的な1日の変化率は、年率に換算すれば、40%にあたるというものです。

HSボラが40%というのは、そう珍しいことではありません。株価が乱高下すれば60%70%のHSボラになることはよくあります。cは図では最低のボラですが、それでも28%あります。

aでHSボラが大きくなったのは、前日に比べて株価の変化が大きかったAやBがあるからです。この2日の大きな変化が、この期間(25日)の平均の変化率を押し上げ、AやBから25日経過して、ABの変化率の影響がなくなったb以降のHSボラは急速に低下しています。


25日HSボラが大きいからといって、25日間に株価が大きく上昇したとか、大きく下落したとか判断するのは間違いです。HSボラの計算式を見ればわかるように、HSボラは前日と当日の変化率の平均です。例えば200円→201円→202円→203円→204円と毎日1円ずつ上昇した場合、1当りの変化巾は1円ですが、200円→210円→195円→215円→204円と動いたときは、1日の変化巾は平均して17円ほどになりますから、後者のHSボラは非常に大きなものになります。

上図の1812 鹿島 の株価は正しいものですが、右図は青○部分の株価に手を加えて、前日からに変化が大きくなるようにしたものです。株価水準自体はそう変わっていませんが、前日からの変化が大きくなるので、HSボラはかなり変わってきます。

こう見てくると、HSボラとは株価の上昇・下落の程度を表すものではなく、株価の不安定さ(昨日に比べて当日の株価が大きく変わる。昨日の株価はあまり今日の株価の目安にならない。いわゆるリスク。)を表すチャートであると理解したほうがよいでしょう。



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