1004 チャート事典

  [1004] 回帰曲線


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意味

グラフは1332 日水 の25日平均線と25日回帰曲線を描画したものです。

ある期間(例えば75日間)の株価は75個の終値を持っていますが、75日間を代表する値を1つ決めるとき、いくつかの方法があります。すでに説明した@平均AコストB平滑平均・さらに今後述べるCコポック平均D仲値は、それぞれのルールで代表値を計算します。

この章の回帰曲線は、正しくは代表値ではありません。上記の平均などは、例えば25日間の株価から、代表する1つの「値」を求めましたが、回帰曲線では、25日間の株価の動きに最もマッチする「式」を計算します。この式(回帰式と呼ばれる)が求まれば、今日の株価はいくらであればよいのか(妥当値)が計算できます。この計算した今日の株価(妥当値)を毎日計算して、線で結んだものが回帰曲線です。

回帰曲線の1つ1つの値は、その日の株価はこうあるべきという妥当値ですから、平均線や平滑平均線よりも、より株価に近づきます。図を見れば、25日平均線と25日回帰曲線の動きの差は、同じ25日間の線であるのかと疑うほどです。特に図の7月から8月にかけての25日回帰曲線のダイナミックな動きはどうでしょう。株価の動きにいくぶん(8〜10日)か遅れながらも、株価の動きに同調しています。また10月末に株価が急上昇していますが、この日に25日回帰曲線は上向き、株価の変化を直ちに表明しています。

このように回帰曲線は、最も株価に近い位置で推移しますから、使い方としては
  1. 株価が回帰曲線を上抜いたら上昇トレンド入り、株価が回帰曲線を下抜いたら下降トレンド入り

  2. 回帰曲線が上向いたら上昇トレンド入り、回帰曲線が下向いたら下降トレンド入り
の判断の材料にするとよいでしょう。


規則 (回帰曲線)

元データ株価
出来高
信用買残・売残
共通銘柄終値
No.1〜No.150線
副データ 
加 工回帰式を求めて、当日の株価の妥当値を計算する
パラメータ×日の回帰曲線
単 位元データの単位と同じ(株価なら円、出来高なら株)
使用例・株価の25日回帰曲線
・出来高の5日回帰曲線
・25日順位相関の10日回帰曲線=当日の25日順位相関の値の10日回帰曲線



計算方法

株価の「5日回帰曲線」を計算してみましょう。実際のところ、パソコンではいとも簡単に計算しますが、回帰曲線を手計算するには大変な計算量になります。統計の初歩を学んだ方は、「最小二乗法」という計算をすれば、多くのデータを1つの一次回帰式で表せることはご存知のとおりですが、回帰曲線は、@最小二乗法によって回帰式を求め、Aここから今日の株価を推定する、という2段階の手順を踏みます。

図のような5日間の株価があります。1日目は173円、2日目は168円、3日目は167円、4日目は179円、5日目は177円です。X日目をx、株価をyとすると、以下のような計算をします。
  1. Σx =xの合計値。(1+2+3+4+5)=15 (a)欄)
  2. Σx・x =x・xの合計値。(1x1+2x2+3x3+4x4+5x5)=55 (b)欄)
  3. Σy =yの合計値。(173+168+167+179+177)=864 (c)欄)
  4. Σy・y =y・yの合計値。(173x173+168x168+167x167+179x179+177x177)=149412 (d)欄)
  5. Σx・y =x・yの合計値。(1x173+2x168+3x167+4x179+5x177)=2611 (e)欄)
  6. xの平均値 =xの合計値÷5。(15/5)=3.0 (f)欄)
  7. yの平均値 =yの合計値÷5。(864/5)=172.8 (g)欄)
これで回帰式を求めるために必要な値がそろいました。回帰式は、y=Ax+Bの形になります。(yは株価、xはX番目)例えば、y=12x+200という式ができたなら、 以上のように、各X番目の株価が推定できます。(実際にはX番目の株価はあるのだから推定の必要はないが)

y=Ax+BのAは図にある計算式によって求まります。 Aはなので、19/10=1.9です。Bは、 より、B=167.1。これによって回帰式は、y=1.9x+167.1と決まりました。 右図の青線が回帰式(y=Ax+B)で、赤点が元の株価、緑点が次に計算する推定値です。

x (X番目)y (株価)推定値違い違いの2乗値
1173169.0416
2168170.9-2.98.2
3167172.8-5.833.6
4179174.74.318.5
5177176.60.40.2
この式が過去5日間の株価をどれくらい当てはまっているか(どのくらの違いがあるか)は表のようになります。右端の「違いの2乗値」の合計は81となりますが、この値が小さければ小さいほど、この回帰式はよく株価を説明できます。そして今作った回帰式は、どんな回帰式よりも「違いの2乗値」の合計値は小さくなっています。(「最小二乗法」で求めたのだから当然そうなる)

さて5番目の株価は今日の株価です。実際の株価は177円ですが、回帰式によって求めた176.6円を、回帰曲線の値とします。

このようにして、株価データが200日あれば、
  1. No.200〜No.196の5個のデータで、
      @回帰式を作り、
      ANo.196日の株価の推定値を計算して、
      No.196の回帰曲線の値とする。
  2. No.199〜No.195の5個のデータで、
      @回帰式を作り、
      ANo.195日の株価の推定値を計算して、
      No.195の回帰曲線の値とする。
ということを繰り返していけば、回帰曲線が描けるわけです。


設定例@ 株価の25日回帰曲線と出来高の10日回帰曲線を描画する設定



設定のポイント
No.4線 株価の25日回帰曲線を描画する。
No.6線 出来高の10日回帰曲線を描画する。



グラフ@

設定例@「株価の25日回帰曲線と出来高の10日回帰曲線を描画する設定」のグラフは図のようになります。

回帰曲線は、平滑平均よりも一層株価に近い位置にあるので、回帰曲線はより早く方向を変化させます。そのため平均線のような、株価下落時の支持線・株価上昇時の抵抗線としての役割は期待できませんから、トレンドの転換を見つけるためのチャートとして使うことになります。



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