1003 チャート事典

  [1003] 平滑平均


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意味

グラフは1812 鹿島の75日平均線と75日平滑平均線を描画したものです。

ある期間(例えば75日間)の株価は75個の終値を持っていますが、75日間を代表する値を1つ決めるとき、いくつかの方法があります。すでに説明した平均は、75日間(75個)の株価は同じウェートであるとして、75個を合計して、単純に75で割って75日目の代表値(株価平均)としました。またコストは、75日間の株価に出来高というウェートを与え、出来高の大きい日の株価が大きな影響を持つような代表値(コスト平均)を計算しました。

この章の平滑平均は、上記2つの代表値の計算のしかたとはもちろん違いますが、その違いは株価のウェートの与え方の違いです。平滑平均は、新しい株価に大きなウェートをつけ、今日の株価を以前の株価よりも重視します。

今日のウェートαは2/(n+1)で与えられます。例えば5日平滑平均であれば、nに5を代入して、2/(5+1)=0.3333となり、75日平滑平均であれば、nに75を代入して、2/(75+1)=0.0263になります。 詳しい計算のしかたは、下の計算方法にありますが、簡単にいえば、75日平滑平均の場合は、今日の株価に0.0263(ウェート)をかけたものと、昨日までの平滑平均の値に(1-0.0263)をかけたものの合計が、今日の平滑平均になります。

75日株価平均の場合は、今日の株価のウェートは過去75日の株価と同じ1/75(0.01333)ですから、単純な75日平均よりも75日平滑平均の今日の株価は2倍近いウェートがあります。このことから、平滑平均は今日の株価がより重視されているので、株価が下落したときは、より下落した株価に近づき、株価が上昇したときは、より高くなった株価に近づくような動きになります。

図を見ると、75日平均線よりも、75日平滑平均線は当日の株価に近くなっていることがわかります。ということは平滑平均線の向きは通常の平均線よりも早く転換するということです。平均線が下向く前にいち早く平滑平均線は下を向いており、平均線が上向く前にいち早く平滑平均線は上を向いていることがグラフで確認できます。

平均線や平滑平均線の向きの転換に注目して、株価のトレンドの転換を決めようとするときには、当然に今日の株価を重視する平滑平均のほうが役立ちます。図のAで平滑平均は下向きに変わり、ここから下降トレンド入りしたということを示しましたが、通常の平均線はここより約1か月遅れて下向きになり、あきらかにトレンドの転換の表明は遅れています。

ただトレンドの確認は、早くでればよいというものではなく、早過ぎて逆にダマシになることもあります。また通常の平均線の水準が押し目の限界あるいは戻りの限界になることは多くありますが、これは通常の平均線が普及しているので、75日平均の水準で押し目買いをしようとか、75日平均線まで戻ったら売ろうとか、多くの投資家が目安にしているので、平均線で押し目が完了したり、平均線で戻りがいっぱいになることが多いのです。その点平滑平均は一般的でないので、平滑平均が株価の支持線(押し目)になったり、抵抗線(戻り)になったりの役目は期待はできません。











規則 (平滑平均)

元データ株価
出来高
信用買残・売残
共通銘柄終値
No.1〜No.150線
副データ 
加 工平滑平均を計算する
パラメータ×日の平滑平均
単 位元データの単位と同じ(株価なら円、出来高なら株)
使用例・株価の10日平滑平均=当日の株価Xα+前日の平滑平均X(1-α)。10日平滑平均のαは2/(10+1)=0.1818
・出来高の25日平滑平均==当日の出来高Xα+前日の平滑平均X(1-α)。25日平滑平均のαは2/(25+1)=0.0769
・25日順位相関の13日平均=当日の25日順位相関の値Xα+前日の平滑平均X(1-α)。13日平滑平均のαは2/(13+1)=0.1429


計算方法

株価の「5日平滑平均」を計算してみましょう。図のように10日間の株価(終値)があります。前欄の10.〜1.の数字は現在を1.として、10.日前の株価であることを意味します。
  1. 5日平滑平均のウェートαはα=2/(n+1)のnに5を代入すると、2/(5+1)=0.3333になります。

  2. 平滑平均の計算には、@当日の株価と、A前日までの平滑平均値が必要なので、まず前日までの平均値を計算します。No.10〜No.6までの終値の合計値は1349なので、5日平均値は1349÷5=269.8となります。(この日は単純な平均値で、平滑平均ではありません)

  3. No.5の日の株価は275円です。
    • これにα(0.3333)をかけて、275X0.3333=91.7。
    • 前日までの平滑平均(今回は単純な平均値だが)は269.8なので(1-α)(=0.6667)をかけて、269.8X0.6667=179.9。
    • 今日の平滑平均の値は91.7+179.9=271.5です。

  4. No.4の日の株価は270円です。
    • これにα(0.3333)をかけて、270X0.3333=90.0。
    • 前日までの平滑平均は271.5なので(1-α)(=0.6667)をかけて、271.5X0.6667=181.0。
    • 今日の平滑平均の値90.0+181.0=271.0です。
図の青枠・緑枠を見ると、前日の平滑平均値を使って今日の平滑平均を計算してしていることがよく理解できます。単純な平均やコスト平均では前日の平均値がわかっていなくても計算できますが、平滑平均の計算方法は、計算した平滑平均を次々に利用して新しい平滑平均を連鎖的(帰納的)に計算するというやり方です。相対力もこのような連鎖的な計算方法です。

連鎖的(帰納的)な計算をするものは、計算を開始する時期が違えば、今日の値がわずかに違ってきます。図は同じ銘柄の株価の5日平滑平均の計算の手順ですが、上図は10日前から計算を開始したのに対して、右図はやや古い20日前から計算を開始しています。








まずNo.20〜No.16まで5日間の終値から5日平均値を計算すると、No.16の平均値は284.2となります。

この平均値をスタートとして、順次No.15からの平滑平均を計算していくと、No.6の日の平滑平均は270.8になります。No.5の平滑平均を計算するときは、No.6の270.8を使いますが、上図のNo.6の平均値は269.8でした。今回は270.8です。このため当日のNo.1の平滑平均は、@上図では278.5となっているのに、A右図では278.6になっています。

スタートの違いによって、今日の値が異なるのは、連鎖的計算方法の宿命です。欠陥といえば欠陥ですが、いつも前日の値を元にして新しい値を計算しているので、その値の変化は非常に滑らかになります。(平滑平均と呼ばれるわけです)

ただし100日前から計算した今日の平滑平均値と110日前から計算した今日の平滑平均値の差はほとんどなくなりますから、できるだけ遠いところから計算をスタートすればよいのです。(《カナル》では、株価データの最も古い日付のデータ(通常500日前)から計算をしますから、この欠陥は問題になりません。)










設定例@ 株価の75日平滑平均と出来高の10日平滑平均を描画する設定



設定のポイント
No.4線 株価の75日平滑平均を描画する。
No.6線 出来高の10日平滑平均描画する。







グラフ@

設定例@「株価の75日平滑平均と出来高の10日平滑平均を描画する設定」のグラフは図のようになります。

平滑平均は、当日の株価や当日の出来高のウェートが最も大きいので、当日の変化が線に出やすくなります。
  1. 75日平均線に比べると、より株価に近い位置にあり、より早く方向を変化させます。
  2. ただし、株価下落時の支持線・株価上昇時の抵抗線としての役割は、単純な平均線のほうがよりよく果たすことが多く、図のABで支持線となったのは平均線でした。またCで上値の抵抗線となったのも平均線のほうでした。




設定例A MACDの設定



MACDの計算方法は、
  1. 9日平滑平均と25日平滑平均を計算する。
  2. 9日平滑平均−25日平滑平均のカイリ差を計算する。
  3. 次にカイリ差の9日平滑平均を計算する。
  4. 売買条件はカイリ差の線とカイリ差の平滑平均がクロスした日を買い・売りの条件とする。
設定のポイント
No.3線株価の9日平滑平均を描画する
No.4線株価の25日平滑平均線を描画する
No.5線9日平滑平均(No.3線)と25日平滑平均(No.4線)の差を計算し、紺色で描画する。
No.6線平滑平均の差(No.5線)の9日平滑平均を計算し、赤色で描画する。
No.7線平滑平均の差(No.5線)の線と、差の9日平滑平均(No.6線)のクロス日数を計算し、ゴールデンクロスした日に買い。
No.8線クロス日数(No.7線で計算ずみ)がデッドクロスした日に売り。



グラフA

「MACDの設定」のグラフです。画面下部の紺色は「株価の9日平滑平均と25日平滑平均の差」です。9日平滑平均の値が478円で、25日平滑平均の値が453円のときの差は、478-453=25円となります。9日平滑平均の値が449円で、25日平滑平均の値が453円のときの差は、449-453=-4円となります。

赤線は、この差を9日平滑平均して、さらに滑らかにしたものです。売買のタイミングは
  1. 紺色が赤色の下になった(デッドクロスした)日に売り、紺色が赤色の上にでた(ゴールデンクロスした)日に買い、としてもよいし

  2. 赤色の方向が下向きになった日に売り、上向いた日に買い、としてもようでしょう。
1.の場合、紺色は9日平滑平均と25日平均の「差」なので、株価が10000円のときの「差」が50円あったとしても、それは驚くべきことではありませんが、400円の株価にとっては異常に大きな「差」になります。

図でACはまずまずよい売りマークで、Bはよい買いマークですが、その他のクロスした4か所のマークは適切ではありません。これを防ぐには、紺色が+10(円)以上でクロスしたときに売り、紺色が-10(円)以下でクロスしたときに買い、と条件を追加すればよいように思われますが、平滑平均の差の大小は、その株価水準に依存しますから、このような条件は銘柄によってはまったくあてはまらなくなります。

原因は、条件表のNo.5線で、「差」(a-b)を設定していることにあります。No.5線を「カイリ率」とすれば、「差」ではなく「率」になるので、多くの銘柄に共通する条件表ができます。これを改善したのが次の設定です。


設定例B MACD%の設定





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