日経平均をどう見たか・判断したか (98年11月)

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(98.11.2) 13952円 (+388) 3.7億株


土曜・日曜にはよい材料がでました。富士銀と第一勧銀が業務提携して信託銀行を作り、ここへ安田信託の年金部門を売却する、というものです。このメリットは1に安田信託、2に富士銀行、3に第一勧銀の順にあるようです。

安田信託は年金部門を売却することで2000億円の売却利益を得、同時に行員の30%にあたる1000人を新信託銀行へまわす。公的資本は2000億程度を申請し、国内銀行になることで自己資本比率の余裕がでる分で不良債権の償却をし、すべての不良債権を完全に処理する。安田信託はストップ高(+30円)の比例配分で、1億株の買いを残しました。

富士銀は出来高トップの2100万株できて、+53円高の499円。第一勧銀は+59円高の774円です。銀行株はもともと押し巾は浅く、戻り売りの勢力は強くなかっただけに、今日から買い戻しの第2ステージに入ったようです。すでに終値ベースでは、第一勧銀・東京三菱・富士銀・住友銀・大和銀・三和銀・三井信託・三菱信託・安田信託・日本信託・東洋信託と過半数が10月の戻り高値を更新しました。まだ2段目は始まったばかりです。


(98.11.4) 14527円 (+575) 6.8億株


銀行株の買い戻しが急になってきました。今日の出来高10位のうち9社は銀行株で、ざっと大手18行の出来高を合計したところ約2億3000万株ありました。今日の出来高は6.8億と脹らみましたが、中心はいうまでもなく銀行株です。

銀行株の買い戻しに加えて、NYが月曜・火曜に8706ドルと堅調であったので、売られてきた国際優良株も値を上げ、値上がり銘柄数は1020銘柄と全面高です。

日経平均は75日線まで戻ってきました。先のザラバ高値14742円は抜いていませんが、終値ベースでは、先の高値は14295円ですから、高値を更新しています。TOPIXの動きは日経平均よりもよく、今日でザラバの戻り高値と面合わせしました。今日の日経平均は出来すぎであり、楽観人気がでていますから、明日ないし明後日は小幅な反落もあるでしょうが、だいたい中勢の上昇トレンドになったといってよいでしょう。

この上昇は銀行株の買い戻しが原動力ですから、買い戻しが終れば上昇波動も終ると思っていなければなりません。(経済対策の内容にもよりますが。)そこで銀行株の買い戻しが、いつ終るのかが問題です。

図は昨年6月から今年3月にかけての富士銀の週足です。富士銀が売られ始めたのは、aの97年9月からで、bの12月まで15〜16週間下げ続けました。この間の出来高の累計は3億6300万株でした。bから買い戻しが入り、98年3月まで大反発となりましたが、bからcの出来高累計が、これに見合う3億6900万株です。

さて今回は、eの98年6月初めから、10月初めのfのザラバ252円まで売られたとするならば、この期間は18週で、この間の出来高累計は5億7500万株です。今はfから5週目の反発となっていますが、出来高累計はまだ2億5800万株であり、ようやく半分の買い戻しが出たか、というところです。まだまだ買い戻しは続きます。

なお「出来高累計」は日足で計ると、数値が65000(千株。6500万株)をオーバーするので、週足を使って下さい。週足の出来高は万株単位なので6億5000万株まで計れます。


(98.11.5) 14341円 (−186) 5.6億株


銀行株は大商いながら小反落しました。銀行株は三井信託・大和銀・安田信託の海外撤退を始めとして、リストラ策を次々に発表し、効率の悪いものは捨て、得意なものを残そうとしはじめました。いまはこのリストラを強材料として買い戻しの最中ですが、リストラの最後には、サイズを縮めた安田信託などは、公的資本の導入によって一気に不良資産を処理することも出来そうですから、銀行株はまだ大上げが残っていると思います。

98年上期の業績が発表されていますが、業績の大幅悪化はすでに相当程度に株価には織り込まれました。むしろ厳しいリストラ策がでれば、逆に株価を押し上げる材料になります。日立の甘さと東芝の決断の差は最近よくいわれていることですが、その東芝はATM部門を沖電気にまるごと売却すると報道されました。こういう企業があいつげば、GDPは別にしてミクロの企業収益は回復が早いのではないかと期待できます。


日経が「円の貸し出し金利がマイナス」と報道しました。金を貸して利子を取るどころか、借り手に利子を払うというのですから、たまげます。どうなればマイナス金利になるのか不思議でしたが、邦銀が外銀と円とドルを交換する際に値引きしているのが、その原因のようです。@実勢の円レートが115円としたなら、117円で1ドルを交換する。A外銀は2円分の利益がでるので、B他の外銀に利子をつけて円を貸し出す。ということだと理解しましたが、マイナス金利とはとんでもないことが起こるものです。

かつて「ウェーブは語る」のコーナーで、毎日掲載していた「CPボラの差」は最近はパーフェクトの成績になっています。今《ウェーブ3》はバージョンアップ中ですが、条件表No.1〜No.32には最適化した条件表を集めました。そのため「CPボラの差」は従来は条件表No.4にありましたが、今度は条件表No.55に変わっています。バージョンアップされた方はご注意下さい。


(98.11.6) 14121円 (−219) 3.4億株


富士銀・第一勧銀の提携をきっかけとした銀行株の目先の買い戻しが終ったようで、今日の出来高トップのさくら銀は1400万株でした。安田信は1300万株、3位の富士銀は730万株です。銀行株の押し上げがないところへ、11月の臨時国会では減税法案の提出はなく、1月の本国会へ延期の意向が伝えられ、やっぱりこの政府は何が大事で、なにが大事でないかをわかっていないと市場は失望しました。

この年末と来年3月は実に緊張を強いられる時期であるのに、1月からようやく減税を審議して、4月から実施というのでは、まったくタイミングを失してしまいます。11月にはいっての1000円高は富士銀・第一勧銀の提携によるもので、いまのような政府の無為無策では13000円を維持できたか疑問です。せっかくの1000円高へ水を差すようなことをしてはいけません。1000円高を支援するような政策なり構想なりをぶち上げるべきでした。


NY株は8900ドルを回復しました。

9月1日にNYは暴落し、翌日はザラ場で7400ドルをつけましたが、(98年 9月分の「日足でみる日経平均」)下値のメドとしていた7355ドルを割り込むことはなく、10月のロシア危機も乗り切ってしましました。すでに200線を超えて最高値9367ドルを目指しています。ここにはFRBや米政府の機敏な金融政策があったためで、株価こそが最重要だと思っているアメリカにくらべ日本の投資家は不幸なことです。

三井化学は昨年10月に三井石化と三井東圧が合併してできましたが、それから1年で早くも合併の効果を出しました。売り上げは13%の減少となりましたが、経常益は28%の増加です。非効率の分野を切り捨てれば売上高は減少しますが、利益は増加します。これが今後の企業のありかたでしょう。

日経平均のグラフは、75日線で頭を押さえつけられました。一方25日線は前回の下支え水準となりましたから、来週は75日線(14482円)と25日線(13618円)の間での保合いになるようです。保合い中に、経済対策、銀行への資本注入がでてくれば、75日線を突破できるか、というところです。何もなければ25日線を下限としてジリ貧へ。


(98.11.9) 14194円 (+72) 2.9億株


経済対策待ちで見送りとなりました。出来高は2.9億株。出来高トップの青木建が860万株、2位のさくら銀が780万株と低調です。

「政府は確定拠出型の年金を2000年をめどに導入を検討」していると、日経新聞が報道しました。富士銀と第一勧銀が信託銀行をうんぬんの件や住友銀と大和証券、興銀と野村証券の提携の件は、確定拠出型の年金制度の実施を睨んでのものですが、ようやく401Kがスケジュールに上がってきました。

いまの確定給付型の企業年金は、すでに10兆円の積み立て不足があるといわれています。不足分は年金支給時には企業の収益から補填せなばならず、稼いでも稼いでも、退職者への年金支給の不足分として収益を圧迫することになります。

今はこの不足分は決算書に載ってはいませんが、2001年3月期からは、不足分を載せねばなりません。例えば、東芝の年金負債は1兆2600億円ありますが、年金資産は6400億円であり、この差額6200億円が積み立て不足になっています。いかに東芝でも一気に6200億を利益から補填するわけにはいきません。当然に2001年が近づくにつれて、このところ株価は急上昇をしている東芝株は、巨大な年金資金の積み立て不足を嫌気して株価を下げることになります。

デフレ時代を迎え、昔の運用利回り5%を予定しての確定給付をいつまでも維持していては、企業は年金支払いのために稼いでいる、ということになりかねません。運用の成果によって給付金額が変わるのはごく自然な話で、企業に利益を削ってまで、年金額を維持させるのは無理があります。

ついでのことだから、国民年金も責任をとる必要のない役人に運用を委ねることもやめてはどうか。はじめから運用がわるければ少ない給付しかない、というルールであればともかく、掛けつづけて、途中から給付を65才へ伸ばしたり、額を減らすからこの国の行政への信頼が失墜したのです。


(98.11.10) 141908 (−86) 3.6億株


円相場は122.31円と2.96円の円安。ソニーなど輸出関連株は一時は上昇するも、しまいには小幅高で終り、手詰まりの様相です。値上がり銘柄数は395銘柄、値下がりは681銘柄と、日経平均は小幅安ながら内容は暗いものでした。

日経新聞によると、ソニーは年金の積み立て不足が2700億円あり、2001年3月期の時価開示を睨んで、650億円分の保有株を年金基金に拠出するそうです。650億の株式は持ち合い株ですが、これを信託銀行に預ければ、年金拠出とみなされるようです。知りませんでした。

信託しても議決権はソニーが保有できるそうで、こうなれば持ち合い株も役に立ちます。追々このやり方を他の企業も採用すれば、少しは持ち合い解消の売り圧力も減少します。

とはいえ650億を積んでもまだ2000億の積み立て不足があり、これを2001年3月末までに準備するには年に1000億の割合で積み立てねばならず、あのソニーでさえ相当に苦しむことになりそうです。

グラフですが、図は日経平均の4%波動を折れ線で描き、右側にはこれをカギ足で描いています。現在はaからの下落途上ですが、デンドラによれば、先のボトムのbを下回る確率は15%しかありませんから、この下げはbの13516円を下回ることはまずないと思っています。

この下げが終り、次の反発になるとき、図のイロハの3通りのコースが考えられます。カギ足の図に緑線が水平に引かれていますが、これはc→bの下げ巾の半分の水準です。cは14295円、bは13516円なので、半分の水準は13905円です。
  1. イのコースは13905円より上で止まり、反発するコースです。このとき、先の高値a(14527円)を上抜く確率は70%あります。

  2. ロのコースは13905円より下だが、bより上で止まり、反発するコースです。このとき、先の高値a(14527円)を上抜く確率は65%あります。

  3. ハのコースはbの13516円を下抜いて反発のコースです。このとき、先の高値a(14527円)を上抜く確率は39%になります。
イかロのコースをたどるものと考えています。そう弱気になることはありません。


(98.11.11) 14428 (+319) 3.8億株


大手15行以上が、公的資金の資本注入の申請をする、と伝えられました。朝方はこの報道は無視され、前場は上下100円巾もない手詰まり状態でしたが、後場、16日の経済対策には所得減税・住宅減税などを織り込む、と報じられ、減税は来年の通常国会へ延期されたものと思っていただけに意外感があって、株価は上昇し高値引けとなりました。

報道された公的資金の資本注入の申請額は思ったよりも少ないようです。大きいところでさくら銀の2000億〜5000億、富士銀の3000億〜5000億、東海銀の2000億〜5000億で、少ないところは1000億程度です。1000億や2000億では、この3月末から9月末の株式下落による株式含み損の発生すら食い止めることさえできません。3月の横並びの2000億円と変わりません。ここは今後の憂いを断ち切って、存分に本来の銀行業務ができるように1兆円レベルの注入を受けたほうがよいのではないかと思います。

銀行は、ここは最後の建て直しのチャンスだと認識せねばなりません。大手銀行の業務純益は2000億から3000億あるのですから、1000億円程度の申請は半期分の利益にしかすぎず、をわざわざする申請する理由がありません。申請額が大きいさくら銀や富士銀は新高値をとっているように、思い切った資本注入を受け、一気に不良債権の償却をした銀行ほど評価されるでしょう。

グラフはとうとう75日線を上回り、先のザラバ高値14742円、その前の高値15294円を目指す動きになります。


(98.11.12) 14075 (−352) 4.0億株


第三次補正予算の審議をメインにした臨時国会は11月27日に招集、30日から12月14日までと決まりました。ただ今度の経済対策は、8月に小渕首相が所信表明をしたときから、ほとんど変わっていません。商品券(ふるさとクーポン)が加わりましたが、これは「お笑い」をとろうとしたのでしょう。自民党の対策案がでたとたんに、株価は一転して反落し、昨日の上昇巾以上の下落になりました。

臨時国会にむけて、自民党と自由党の連立の気運が高まっています。自由党の消費税についての考えは、@短期的には景気対策として3%へもどす。(あるいは0%まで下げて、段階的に上げていき、需要を引き出す)。A中期的には消費税は福祉など目的税とし、いまのように好き勝手に使わない。B長期的には、消費税率は15%まであげ、直間比率を是正する。というものだと理解していますが、与党としては消費税率の引き下げには大きな抵抗があり、消費税率を真正面からとりあげては、連立の目はないでしょう。

ただ噂にでている野田蔵相案は、この5代ほどの大蔵大臣のリーダーシップがいまいちであっただけに、やってみて欲しいという気があります。税率引き下げよりも消費税の目的税化のほうが実際には重要です。やはり一度税率をさげると、今度あげときには大きな抵抗が生れるでしょうし、いつ税率アップになるのかと消費者が疑心暗鬼するようでは、消費の拡大は望めません。それよりも消費税は健保や基礎年金などにしか使わないから、今後健康保険料や基礎年金部分のアップはない。と打出したほうが持続的な消費がでてくるのではないかと思われます。 税率引き下げあるいは目的税のどちらかを自民党が飲めば、相場にはよい材料になります。


(98.11.13) 14268 (+193) 4.6億株


SQからみの出来高が9000万株あり、正味の商いは3.6億株と低調です。第三次補正予算の大枠は決まったようです。事業規模は20兆円以上、真水は15兆円。ただしこの額は補正予算と来年の通常予算の合計ですから、デフレギャップが30兆〜40兆といわれているにしては、少な過ぎます。

消費税の引き下げあるいは目的税化がでれば、かなりの強材料になりますが、事業規模が20兆円のままでは、経済対策としての材料は出尽くしで、株価は弱くなります。あとは銀行への思い切った資本注入、株式需給の改善のための公的な機関の新設が残る材料です。

このへんの思惑から、日経平均をはじめとして、NTTなど多くのグラフは、三角保合いになっています。三角保合いは予断を許しません。抜け出した方向につくしかありません。

企業年金の積み立て不足額は10兆円と記憶していましたが、今日の日経新聞によると60兆円〜80兆円あるとのことで驚きました。巨額です。もういやおうなく確定拠出型年金に変更するほかはありません。


(98.11.16) 14428 (+160) 4.4億株


第三次補正予算が発表されました。事業規模は17.9兆円。来年の減税6兆円を合わせて、23.9兆円。真水は16兆円。発表まではやや高い水準で推移していましたが、発表後は材料出尽くし感から、前引けは-54円安。後場は再びプラスに転じ、+160円高で終ったのは、底固いというか、売り込むことはできないといったところです。

住友銀が5000億円の公的資本を導入し、第二分類債権の引き当て率を15%へ、第三分類債権の引き当て率を75%と米国並みにし、リストラを急ぎ、自己資本比率を10%に高めると報道されました。 銀行株は75日線より上位にある銘柄が多く、高値保合いをしていますが、打開策があいつぎ、この水準から下げる様子がありません。最後は売り方の壮大な踏み上げになるのでは。

さくら銀と東海銀はフジタ向け債権を放棄する。東海銀は藤和不が関連会社に貸し付けて不良債権化している1800億円の一部を肩代わりし、将来はこの貸し付けを放棄する。など気前のよい話がでて、フジタは+22円高の90円、藤和不はストップ高比例配分で+30円の110円となりました。 フジタ・藤和不にとってはありがたい話ですが、銀行が公的資金を受け入れる以上、その使い道については世間の目は厳しく、フジタ・藤和不がなんらかの犠牲を払うのは当然視されています。減資も犠牲の一つです。減資をするのではないかの話もでていますから、これをもって好材料とするわけにはいきません。

グラフは再び75日線を超え、いかにも保ち合い放れをしそうな格好になってきましたが、自民・自由の党首会談では消費税の凍結・引き下げなどは話題にならなかったそうで、ここから上放れるにはパンチ力が不足しています。


(98.11.17) 14413 (−15) 3.8億株


このたびの緊急経済対策は、経企庁の試算では、向こう1年間でGDPを2.3%押し上げる効果を持つと発表されましたが、民間の試算ではそれほどのものではなく、日経新聞では1.6%の押し上げ効果しかなく、99年度は-0.1%の成長率を予想しています。

この98年度の予想が-2.6%のマイナスなので、-2.6%→-0.1%は水準としてはなお低下するものの、減速スピードはほぼ0になるわけで、デフレスパイラルを食い止められればよしとしなければならないのかも知れません。今回の対策の景気浮揚効果は2000年度には+0.6%のプラスになるそうですから、98年度が最も辛い時期であることになります。

経済対策の材料出尽くし感のあるところへ、ムーディズが日本国債の格下げを発表しましたが、相場にはまったく響きませんでした。目先の景気は急回復できないことは、誰でも承知しており、今般の経済対策への不満は、ある種のないものねだりに近いものですが、相場が下げなかったのは、近視眼的に動いてきた株式市場がここへきて、1年先2年先のことを考え出したのではないかと思っています。今年はあまりにもうろたえさせられることが多かったのですが、ようやく落ち着いて将来のことを考えられる余裕がでてきました。よいことです。

大胆なリストラ策に期待して、東芝が1100万株の出来高トップ。2位はダイオキシン処理技術を開発して先日来急騰している千代建。先に希望がある企業が買われていたのもよい兆候です。3位のフジタは早くも反落。他人頼みの打開策では株価は上がりません。


(98.11.18) 14599 (+186) 4.7億株


米国は公定歩合を0.25%引き下げて4.5%にすると発表しました。NYは前日この観測から、すでに9011ドルに上げていたので、発表後は小安く終りました。円相場は昨日のムーディズの国債の格下げと今日の利下げをはかりにかけた結果、円安のほうを選択しました。

日経平均は昨日で75日線を完全に上抜いていましたが、上昇して高値保合いを脱却するには材料不足です。円安からソニーなど国際優良株への見直し買いが入ったほかは、銀行株が戻り高値を更新するものが多く、後場はザラバで14701円と、10月のザラバ高値14742円に迫りましたが、中心となる銘柄がなく、戻り売りに押されました。

出来高トップは銀行が債権の一部を放棄するとかで買われた長谷工でしたが、相場をリードする銘柄ではなく、今日の窓あけの陰線をみると、フジタ・藤和不と同様に早くも高値をつけてしまったような感じです。

グラフは75日線を上回ること、今日で3日ですから、強気は強気なのですが、どうも力不足がいなめません。新たな材料がでない限り、今日のザラバ高値14701円が今週の高値になったような気がします。12月中旬にNTTを100万株放出するの報道もありました。どうも政府はまだ楽天的なことを考えています。NTTは自社株を消却すればするほど、政府の持ち株比率が高まり、政府が株式の放出を考えるということになります。株価を高めようと努力すれば、放出で株価を下げられるという、賽の河原の石積みのようなところがあって、かわいそうなものです。


(98.11.19) 14354 (−244) 5.1億株


三和銀は5000億〜8000億の公的資本を導入すると報道されました。第一勧銀も5000億〜7000億のようで、あとから発表する銀行ほど、金額が大きくなってきます。

富士銀は店舗と人員のリストラ策を発表しました。280店舗のうち50店舗を廃止、90店舗を行員4〜5人のリテール専門店とする。この縮小によって従業員の10%(1400人)を削減する。このあたりは先の住友銀と同様のリストラ策のようです。

この動きがあったにしては、銀行株は安くなるものもあり、公的資本注入とリストラ策は、株価に織り込まれたようです。まだ確認はできていませんが、1か月程度の高値を出したように思います。

青木建があさひ銀・興銀などに対して2000億円超の債権放棄を要請し、あさひ銀は780億円・興銀は777億円の債権放棄をすることになりました。フジタ・長谷工に続く第3弾目のモラトリアムです。青木は前場は立ち会い停止、後場は買い物を集め急伸しましたが、売り物がどっとでて、-1円安の77円で終りました。

減資を伴うことや、なお気の遠くなる負債を抱えていては、向こう20年間は借金を返すだけの会社で、到底株主が報われるはずがない、の投資家の考えでしょう。市場は冷静です。債権放棄は更生法適用の一歩手前のもので、放棄したほうも、してもらった方も、それぞれの経営責任を問われます。

一方自助努力で、思い切ったリストラを始めた東芝は今日も新高値(653円。+18)。予定していた2.5倍(746人)の人員を整理する大丸は+48円高の358円。これが本流です。


(98.11.20) 14779 (+425) 5.0億株


月曜日の小渕・小沢会談では、消費税の凍結・引き下げなどは話題にならなかったものが、昨夕は両党が急接近し、「臨時国会では自由党は自民党に協力。来年の通常国会前には自民・自由の連立内閣を発足し、協同で予算編成を行う」のニュースがでました。

海外では評価され、CMEの日経先物は14700円台〜14600円、NYの円相場は一時118円台の円高。これを受けて日経先物から上昇し、前場は先のザラバ高値14742円目前の+362円高から、大引け間際にはついにこれを上回り、14779円の高値引けとなりました。

昨日は手詰まり状態であったので、今週は高値を上抜けないものと思っていたから意外でした。意外といえば、自由党の@消費税の目的税化・A10兆円の減税・B大臣の数は14人へ削減・C国会議員定数を衆参各50人を削減・D国家公務員は10年間で25%削減する、などの要求は、どれ一つをとっても、いまの自民党に手に負えるものではありません。特にBCDはまず不可能に近いことです。早くも自民党内では批判が相ついでいるの報道ですが、小渕総理が自分が責任をとるといって合意を見たようです。

自由党が政権に入ることによって、自民党では打開できないことができるかもの期待がでて、今日の保合い放れになりましたが、今日は期待感が先走ったような気がします。出来高は5.0億と昨日よりも少なかったのが、本当に自由党案を飲めるのか、自民党の意見をまとめられるのか、の疑問を持つ向きが多かったことを表しています。

来週の出来高が5.0億株を越えてくるのかどうかが、この先の上昇の余力のあるなしを判断する基準になります。出来高が増加するようなら、次の目標は15387円〜200日線の水準の15400円です。


(98.11.24) 15164 (+384) 5.8億株


NYは+214ドル高の月曜日のドルと史上最高値を更新しました(&Pも更新)。朝方は15000円台に載せたものの、持ち合い解消売りが出て、前場は+211円高ながら15000円を割り込んでいましたが、後場はジリ高となり、とうとう8月以来の15000円台で引けました。

中間決算と同時に本店を売却すると発表した三菱銀は出来高トップになり72円高。日産自が2位で、+39円高の420円。3位は日立で79円高の790円と業界の01銘柄の上昇が目立ちました。いかにも売られすぎたの反省がでました。

よくなってくると、支援材料があいついで出てきます。大きいかったのは長銀の国有化で、銀行が再建へ向けて動き出したのが一番ですが、自民党へ対して自由党がいれた「カツ」は、政策に対しての閉塞感を打ち破りました。自民党は消費税率の引き下げはともかくとして、福祉目的税化へ意見をまとめるようですから、大変な変化です。

グラフは先週末に、中勢の上昇波動入りをしましたが、これを支援する材料がありませんでした。この3連休のあいだに、自自連立は本気であることが確認でき、ここへきてのNYの新高値が加わりました。年末の連立内閣発足までは、自自連立の材料は強材料として持続します。NYも新高値をとった以上は上昇トレンドに復帰したわけで、当分はNYからの悪材料はでてこない様子です。

ただ目先のことでいえば、TOPIXは売りマークが出ました。日経平均も明日高ければ売りマークが出ますから、今日明日で目先の高値になりそうです。


(98.11.25) 150073 (−91) 5.0億株


スピード調整になりました。昨日上げた銀行株や日立・東芝・ソニーは反落し、替わって大型鉄鋼・や三菱電など2番手銘柄が上昇しました。

重電でいえば東芝→日立→三菱電ときたわけで、急速な株価の水準訂正は今日で終りのような感じです。この先は、自自連立内閣の行く末と新たな切り口での景気刺激策がどうでてくるかにかかってきます。

デンドラの8%波動による、日経平均の上限・下限のグラフを掲げます。

10月半ばのザラバ高値14742円の当時のデンドラの上限線は14682円でしたが、この水準を60円上抜いてピークとなりました。11月に入って出直ってきたときも、上限線(紫色)が重しになっていましたが、昨日は一気にこの水準を上抜き、もう一段上の上限線(青色)の14940円を200円ほど上回りました。これによって残る上限線は赤色の16099円だけになりました。15000円を固めた後は、この水準への挑戦をするようです。

目先の話では、昨日「日経平均用'96」がTOPIXについての売りマークを出しましたが、今日は警戒感がでており、明日も調整の様子です。


(98.11.26) 15207 (+134) 4.9億株


日経平均は一日の値動き巾は175円と小動きながら続伸となりました。今日の主役は住金が3000万株の買い物を集めて145円(+6円)に上昇したほかは、めぼしいものはありませんでした。

値上がり銘柄数が826銘柄、値下がりが372銘柄が表すように、値上がり銘柄は多かったのですが、その割には日経平均は伸びません。100円台〜300円台の低位株の水準訂正が主なもので、バラバラと全般が少しずつ上昇した感じです。

日経先物の出来高は19000枚と少なくなり、株価が戻り高値を更新したにしては活気がありませんでした。今日は下げると思っていましたが、意外な値持ちだったのは、日経平均に関係のない低位株への買いが入ったためです。ということはようやく個人投資家が参加し始めたということでしょう。外人投資家は11月に入っては買い越しになっているようですが、ここへ個人が買い越しとなれば、持ち合い解消の売りを吸収できるキャパシティが大きくなります。

グラフは逆張りの「日経平均用'96」が日経平均に売りマークをだし、TOPIXについても一昨日に続いて売りマークがでましたから、押し目を作ることになると思いますが、中勢波動は上昇転換していますから、ここからの押し目は「初押し買い」です。


(98.11.27) 15069 (−138) 5.0億株


ザラバ高値15320円があって、そこから250円ほど下げて引けました。高値の目標値段が15387円、200日平均線の水準が15365円であるので、ほぼ目標に届き、目標達成感がでてきました。

ただ下げたとはいえ、値上がり銘柄数は659銘柄(値下がりは544銘柄)あり、低位株が幅広く買われていますから、そう大きな押し目を作るようでもなさそうです。上げ幅の1/3押しをするかどうかというところです。10月末の13432円から今日のザラバ高値15320円への上昇巾は1888円あり、この1/3は629円ですから、14691円が1/3押しの水準になります。

あるいは最安値の12787円からの上昇巾2533円の1/3押しとなると、14476円なので、14500〜14700円が下値の限界であると思ってよいでしょう。10月高値が14742円であることも考えると、14700円までの押しが有力です。


(98.11.30) 14883 (−185) 4.0億株


低位株の水準訂正が一巡し、臨時国会での減税額の積み上げがどのくらいになるのか、を材料にするだけとなりました。朝方は小高く寄り付いたもののジリ安になり、出来高も4.0億弱と様子見です。

自自連立はいったい実現するのか、雲行きがあやしくなってきました。自民党が出す政策はどれもこれもインパクトがないし、民主党は人気が剥げ落ちていますから、コワモテ小沢自由党に期待がかかっていますが、どうなることか。破談となればけっこうなマイナス材料になります。

日経新聞の伝えるところでは、政府は、今回銀行に注入(優先株の買い入れ)の配当は国債利回り程度とし、返済期限は20年〜30年の長期も認めるようです。国債並みとは破格の待遇です。住友銀が海外で優先株を発行したときは、利回りが10%とか11%であったはずです。銀行は5000億だ6000億だといわずに、いま発表している額の2倍や3倍の公的資金を導入すればよいのにと思うのは素人考えでしょうか。注入額を倍増させる銀行は、株価急騰だと思います。

12月1日から銀行は投信の窓口販売を開始しますが、思ったようには販売額は増えないのではないか。元利保証に慣れている預金者がリスクを取れるかどうか、投信は借り入れの際にどの程度の担保になるのか、まだまだ普及には時間がかかるのでは。


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