日経平均をどう見たか・判断したか (98年8月)

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(98.8.3) 16165円 (−213) 2.9億株



宮沢蔵相の円安容認の発言は、当然のことながら円安を引き起こしました。NYでは144円台になり、今日は145.63円と橋本内閣時に日米が協調介入した146円へあとわずかに迫りました。

この円安が、中国元への不安を引きずり出し、今日の香港ハンセン指数は大幅安になり、これをみて日本株も値を崩しました。

銀行株は売りが止まらず、悪材料のでた三和銀行(-118円安の1115円)を筆頭にして、第一勧銀・さくら銀・富士銀は売られるままに値を崩していきます。

今日の下げをみて市場は弱気に傾いたようですが、6兆円減税、16兆円経済対策の執行、10兆円の補正と、景気の悪化を食い止めるためにはなんでもするというのが小渕内閣の方針ですから、下値は限られています。先の安値15804円を割らない限りは強気維持です。


(98.8.4) 16023円 (−141) 3.5億株


NYは大幅続落で8786$。業績は頭打ちの様子になってきました。国内の需要が減退すれば、次は外需ということになりますが、このドル高では、米国の輸出競争力はありません。これ以上の円安は米国にとっても困ることになりますから、前回のような協調介入は当然にあるはずで、これを警戒して急激な円安はないのではないかと思います。

都銀株が連日値下がりするのはしかたがありません。ブリッジバンクを始めとする金融再生関連6法案が明日提出されます。受け皿ができて9月中間決算を待つということになれば、銀行全体が売り叩かれることも少なくなくなります。野党もこれを政争の具にしてはいけません。

乗用車の販売台数は4か月連続で前年を上回ったと発表されました。前年4月は消費税アップの反動で大きくへこんだ時期ですから、これを上回るのは当然としても連続4か月プラスというのは落ちるところまで落ちたら下がらない、の見本みたいなものです。

グラフでは25日順位相関はもうじき-40から-60へ落ちてきます。-60あたりからが安値をだすことが多くありますから、今週くらいで下げ止まりになるのではないかと思います。


(98.8.5) 15992円 (−31) 3.6億株


NYは-299$の大下げになりました。3.4%の下げは日経平均では500〜600円の下げに相当しますが、意外や日経平均・先物とも前日引値と変らぬ水準で寄り付きました。

それも減税額が6兆円から7兆円に拡大される見通しとなったからで、小渕経済再生内閣は、けっこうすばやい決定をしています。

ただし、この減税は次の通常国会で決まり、所得税減税については来年1〜3月は通常の源泉徴収をし、4月から手取り額が増えるそうですから、減税効果は先の先の話です。法人税については一気に40%に下げるというのですから、これはなかなかのものです。

NYダウは200日線近くまで落ちてきました。昨年10月の史上最大の下げ巾を記録したときは、200日線を割り込んだ翌日には、すぐに回復しました。今年1月の下げもそうでした。チャートからは8100$あたりが節目ですが、ここまで下落するのか注目です。

200日線といえば、株価が200日平均線より上位にあるものは、中勢の上昇トレンドにあるといってよいのですが、いまの日経平均はまさに200日線を挟んだ動きになっています。200線の上に定着したなら、次の上昇波動が期待できます。

個別銘柄では、東証1部銘柄のうち約600銘柄(46%)は200日線より上位にあります。(もちろん銀行株は1銘柄も200日線を越えていません。)日経平均は、建設・銀行株が足を引っ張って、いかにも悪いように見えますが、建設・銀行を除けば、個別株は過半数がすでに上昇トレンド入りをしているのですから、悲観することはないと思います。


(98.8.6) 15876円 (−115) 3.8億株



NYは+59$と反発しました。とりあえず200日線を意識した格好です。この小幅な上げではまだ下げ止まったとはいえません。

首相の所信表明、金融再生6法案の行く末をみてからと、全般は動けない状況になりました。

今日の日経新聞の「大機小機」は「転換権付国債のすすめ」のタイトルで(一葉)氏が書かれたものでしたが、ひさしぶりに知恵がでたという思いがしました。世の中には賢い方がいるものです。

要旨は、@減税や不良債権の処理には財源が必要だが、これがないために赤字国債を発行せねばならないことになっている。Aしかし国の財産はまだあり、これを活用すべきだ。B例えば国が保有するNTT株への転換権付き国債を出してはどうか。CNTT株へ転換すれば、国債の償還は不要になり、NTT株の売り出しで株式市場から資金を吸い上げることもない。

転換社債ならぬ「転換国債」です。しばらくうなりました。この方式でいけば、JT株・JR株もそうですが、国有地の管理会社を作りこれを公開するなど、国有財産をいまこそ役立てるべきです。なんとかしろの不満や不服ばかりで、なかなか建設的な意見がでていないこのごろでしたが、今日のコラムは、「知恵をしぼって現状を打開しよう」と元気づけられました。


(98.8.7) 15829円 (−47) 3.7億株


朝方は高く、16000円乗せをしていましたが、首相の所信表明には目新しい内容がなかったため、次第に下落しました。目新しいものはないとはいえ、@一両年のうちに経済を回復させる。A減税は来年1月から実施する。という期限を切ったのは、もっと評価されてもよかったのではないかと思います。

基本的に銀行は過大な融資をし、企業は過大な融資を受け、いわば株式投資で信用取り引きをして1儲けるところを3儲けてきたのが日本経済です。これを現物取り引きに戻そうというのが、これからの動きですから、銀行側は過大融資の回収が第一で、企業側は返済が第一です。

銀行の貸し渋りはちょっとやそっとではなくならないし、企業は期間の利益から返済に回さねばなりません。新しいことはなかなかできないし、期間利益を向上させるには、効率の悪い事業は切り捨てて、雇用も減らさねばならない時代です。

企業の効率性の追求は、終身雇用・年功序列制を崩しました。この結果が将来の不安となり、消費の抑制となっているのですから、減税や金融システムの再生ができても、景気がにわかによくなることはありません。

企業が効率的に変身するまでには、つらいことばかりをなさねばなりませんが、ソニーやホンダや信越化学のようなよい手本があるのですから、日本の企業はかならず再生すると信じています。厳しいリストラをしている企業を見つけ、見守るのがこれからの投資の基本方針だと思います。


珍しいことに、日経平均は5連続陰線になりました。図は1本の陽線を含む5陰線と5連続陰線の日に買いマークを出していますが、多くは目先の反発があるところです。最近は5日とは1週間ですから、1週間毎日安ければ、売り飽き気分がでてきます。


この条件表の設定は図のようになります。カナル2ver3.0からは「合致回数」という加工が加わっていますが、ちょうどのこ加工を使ったので、例題として掲げておきます。

  1. No.2線は株価の始値の値段を取りだします。

  2. No.3線は株価終値―始値を計算します。
    No.3の値がマイナス値なら陰線、プラス値なら陽線です。

  3. No.4線では「合致回数」を使い、この6日間にマイナス値の日が何回あったかをカウントします

  4. No.5線は、マイナス(陰線)が5回以上あれば買い、の条件をつけています。

これによって、5連続陰線か、1陽線を含む5陰線となった日に買いマークがだされます。


(98.8.10) 15626円 (−202) 3.6億株


6連続陰線となりました。アジア市場の軟調、協調介入前の水準へ円安が進んだこと、銀行株の総売りなどが買い気を起こさせません。後場は三田工業が倒産の報道で、ますます買いの手はひっこみ、わずかな売り物で下げたという感じでした。

これまでの倒産は銀行・証券・建設・商社であり、バブル期に作った不良資産が原因でしたが、三田工業はメーカーであり、いわばカタギの企業が倒産したわけです。メーカー各社は「もって他山の石」となし、さらなるリストラに励むことになりそうです。経済構造改革が進みます。

銀行株が下落する当然のことながら、三田工業の倒産で主力行のさくら銀と興銀はそろって新安値になりました。興銀は669円(-29)、さくら銀は298円(-12)。長銀はとうとう43円(-5)、東京三菱は安値まであと30円の1125円、富士銀はあと11円の451円、住友銀はあと61円の1162円、三和銀はあと13円の1000円と惨澹たるありさまです。新安値を心配しないでよいのは日債銀だけです。

銀行株が下落すると、銀行に支援されている建設・不動産が連動安をするのはしかたがないとしても、銀行を支えているともいうべき企業の持っている銀行株の評価が下がり、せっかく辛苦して出した期間利益が評価損で吹きとぶというのでは、なかなか株価に対して強気になれません。それが今日の市場の気分だろうと思います。弱気はしたくないのですが、金融監督庁の検査結果の発表までは銀行株に足をひっぱられそうです。

日経平均・TOPIXとも75日線を割り込みました。日経平均は重要ポイントの15739円も下回りましたから、75日線を上抜いた7月中の出来高は全部しこり玉となりました。7月1日に政策転換を期待して買い上げた大陽線は否定されましたから、ここからは下値さぐりの動きになります。

目先は6陰連の反動がありますが、夏期休暇中では出来高が盛り上がることは期待できず、反発しても200線の16300円までのようです。


(98.8.11) 15406円 (−219) 4.6億株


円は147.40円となりました。ここまでくれば橋本内閣時の日米協調介入はなんだったかということになりますが、介入して円安が底打ちをしたことはなく、146.75円が是非とも死守せねばならない水準というわけではありませんから、今度は150円を超えてきてからの介入になるのでしょうか。

銀行株は派手に値を崩しました。特に大手都銀は軒並み新安値です。長銀は38円(-5)となり、市場は退場を命じています。この株価では長銀への短期資金は回らないでしょう。ブリッジバンク法の成立前に破綻となりかねません。銀行には困ったものです。


「日経平均用'96」が買いマークをだしました。「日経平均用'96」はこれまでにも的確な位置でマークを出しており、この半年は5月の戻り高値で売りを出しそこねたのを除けば完璧です。同じくTOPIXにも買いマークがつきましたから、当面は反動高が期待できます。

「日経平均用'96」は1996年の1月に《Qエンジン》を使って作ったものですが、1時間もかかりませんでした。それがこの2年半は実に頼りになる条件表になっています。

いま《Qエンジン》のバージョンアップ(Ver3.0) の最中なので、宣伝しました。


(98.8.12) 15378円 (−23) 4.2億株


NYが-112$安の8462$と下げたため安く始まりましたが、円が145円台に戻したことから銀行株の買い戻しなどで反発して一時は15500円を越しました。が、上値は重く-28円安で終りました。

前回のNYの-300$安のときも日本へは響きませんでしたが、今回も同じ結果でした。すでに日本株は全般は下値に届いており、1株純資産を割り込んでいる銘柄も多くあります。ただ倒産すれば、あると思われた資産がないということがしばしばで、倒産リスクの強い銘柄は限りなく1円に向かって落ち続けることになります。

いまや建設・銀行・不動産・商社の株価は常に倒産の2文字がチラチラしていますから、これら銘柄が純資産以下に売られるのはしかたがありませんが、これ意外の業種は売られすぎの水準にあると思います。

それもこれも大きな原因は、企業が保有する銀行株の評価損が膨らむからで、足を引っ張る銀行株を9月中間決算を前に早く処分しておこうという動きがでて、銀行株を下落させ、これによってさらに評価損が増えた企業がまた銀行株を処分するという悪循環にはいりそうです。

銀行株を処分した後の一般企業は、ここで正当な評価がされ、秋から年末にかけて経済指標の悪化が止まり、上向くような兆候がでれば、これら株価は水準訂正されます。


日経平均は8日連続安となりました。91年11月以来、約7年ぶりのことだそうです。図がそれです。

いまのチャートによく似ているのは不気味です。9日線が25日線とデッドクロスしたあたりから9連続安が開始していますが、今回もそうでした。また陰線4本目で75日線を割り込んでいますが、今回も6日目に75日線を割り込みました。

9陰連を出したのは、高値から安値へ至る2/3ほどの位置ですから、今回もこれと同じ経過をたどるなら、6月の14514円を下抜くことになりますが、同じことは起こらないでしょう。全般の株価は安すぎる水準にあるからです。


(98.8.13) 15382円 (+3) 3.3億株


お盆休みに入り、出来高は少なくなりました。香港株は急落を続け、5年ぶりの安値水準になっています。昨年10月のアジア危機→拓銀破綻→三洋証破綻→山一証廃業→東食倒産の流れがあっただけに市場は強気ができてきません。 ただこの下げは銀行株の売りがメインであり、その他の株は銀行株に引っ張られたものですから、どこかで銀行離れをすると思っています。

例えば今日の日経平均はわずかに+3円でしたが、その内訳は値上がり銘柄数が744銘柄、値下がりが395銘柄と値上がり数が勝っていました。前日比で-5%以上値下がりした銘柄は11銘柄ありましたが、反対に5%以上値上がりした銘柄は74銘柄もあります。この9日間、銀行株に連れ安したものは水準訂正をしようという動きです。

NHK教育で夜10時から、中坊公平さんの特集をしています。再放送だそうですが、エライ人だと、感服して見ています。理念というものは、ああまで人間を明快で、力強く、かつ清々しくさせるものなのかとしみじみ感じます。4夜連続放送で今夜が最後ですが、今日は「不良債権回収」です。


(98.8.14) 15123円 (−258 4.3億株


オプションのSQがらみの出来高は8000万株で、実質は3.5億株の薄商い。

ここ何年かは、年金運用資金の買いと、生保・銀行の売り・投信の売りの動きは不動で、外国人が機を見て買ったり売ったりの構図は変りません。7月に買い越した外国人も8月からは、週を追って売り越し額が増えているようです。年金資金の運用はお盆休みのようなので、市場には買いの勢力はなく、今週までがチャンスだと、最も弱い銀行株が売り叩かれます。

8月に入ってからの株価の下落は、昨日の+3円高があっただけで、一方通行になってしまいました。相場に自律性があれば、昨日あたりからいくらかの反発があってしかるべきところでしたが、今日も続落し、期待は裏切られました。

75日線を割り込んだことによって、いままで予定していたことが狂ってきました。

7月の上昇波動は、第1段目の上げで、この後75日線近辺までの押しがあっても、そこから第2段の上昇に入り、次の高値は最低で17350円が目標と思っていましたが、これは絵に描いた餅となりました。

どころか7月の上昇で75日線より上位でできた出来高は全部しこったことになります。この出来高が約122億株です。1日4億株として、この解消には立ち会い日数で30日かかりますから、9月中旬までは大きな反発は期待できません。2〜3月の上げに対する4〜6月の下げの小型版になりました。

7月の上昇の第1の重要ポイントは7月1日の大陽線でしたが、これは8月10日に破られました。第2の重要ポイントは6月18日の陽線(高値15398円・安値14825円)です。

75日線より上位での値動きのゾーンは15804円〜16756円の952円でしたから、この値幅を下にシフトさせると、次のゾーンの下値は14852円になります。第2の重要ポイントとこの下値メドがだいたい同じ位置なので、14800円は強く意識されると思います。


(98.8.17) 14794円 (−329) 3.9億株


全面安になりました。14800円は相当に固い水準だと思っていましたが、15000円割れのショックのほうが大きかったようで、あっさりザラバ安値14655円まで下げ、ここから140円もどして終りました。出来高は3.9億株と少なく、底を入れた感じではありません。

先物は逆ザヤになり、先安を暗示しています。出来高上位は新日鉄1100万株、さくら銀920万株、住友信託870株と、特に出来高を伴って下げる銘柄はなく、どの株も手に手を取って少しずつ下げた結果が15000円割れになっているのですが、それだけに陰湿な下げであり、粘着力のある下げです。

今夜のNY、今日から始まった金融再生6法案の国会審議、9月初〜中旬に発表される金融監督庁の銀行検査結果、中間期末の不良債権償却の上積みの可能性の高まり、事業法人の持ち合い解消売り、と懸念材料はいくらでもあります。買う気がないところに裁定解消売り・銀行株の売りたたきがでて、わずかの出来高であるのに、これに抗することができない現状は悲観的にならざるを得ません。

ただこんなことは、株式投資をしていれば誰でも知って、思っていることで、株価の下げを見て一層の弱気になるのもどうでしょうか。というのは、図は東証1部銘柄のPBRの分布図ですが、すでにPBR1倍以下の銘柄は542銘柄あります。

1株純資産はその会社の解散価値ですが、それ以下にしか評価されていない銘柄が44%を占めるというのは異常です。銀行がつぶれたところで、連鎖的に倒産しない企業はいくらでもあるはずです。 財テクをしなかった、銀行に依存していない企業は過少評価の極みにあると思います。


(98.8.18) 15063円 (+269) 3.2億株



ロシアはルーブルの実質的な切り下げを発表し、NYの行方が注目されましたが、ロシア経済は米国にとっては影響がなく、この下げは押し目買いだとして、+149$の大幅高になりました。ロシア経済→ヨーロッパ経済→米国のリンクはそこそこあるように思えますが、どうも為替のことはよくわかりません。

NYの大反発を見て、この下げをリードした2つのグループの1つの国際優良株が持ち直し、もう1つの銀行株は、蔵相が円相場への介入を示唆とか、長銀へ公的資金で資本を増強の報道とかで、買い戻しの動きがあってこれも全面的に高く、悪役2つが反発したため日経平均は+269円高となりました。

しかし出来高は3.2億株と薄く、今日の反発をもって底打ち、とは到底言えません。昨日の3.9億株での-329円といい、値動きがあっても、一部の市場参加者の思惑によるもので、依然として視界は不良です。

25日順位相関は-93%まで低下しました。この25日間は大きな反発がなく、一貫して下落したということなのですが、あまり嬉しい現象ではありません。25日間に反発がなかったということは、買ってみようという気にならなかったということであり、売り方も買い戻すほどのこともなかったこです。つまり近い将来に強気の材料が見当たらなかったわけです。

例えば、9日順位相関と25日順位相関がともに-90%以下になったのは、97年9月1日(17974円)でしたが、この後2日間で+760円高(18735円)したあとは、98年1月の14664円まで下落しました。96年12月24日(19161円)のときは、翌日+388円高(19549円)した後は再度の下落となり、97年1月10日の17303円となりました。95年3月14日(16245円)では、翌日16666円へ420円へ反発した後、3月24日の15749円まで下げました。(最終的には95年7月3日の14485円まで下げた)

この3年を見ると、9日と25日順位相関がともに-90以下になったときは、ひと反動があったのちにさらに大きく下げています。無論同様のことが必ず起こるわけではありませんが、先行きに光明が見出せないと、今、危惧している悪材料に飲み込まれて、同じ結末になることも覚悟しておかねばなりません。


(98.8.19) 15406円 (+342) 3.8億株


NYが+139ドルの続伸となった上、円相場は一時143円台にはいるなど昨日と同じ状況で、日経平均も続伸しました。ただし出来高はやはり少なく3.8億というのでは、買い戻しによる反動でしかありません。

今日は、ソニーを先頭にした国際優良株の上昇と銀行株のショートカバーの2つの流れに加えて、円高による新日鉄・NTTの買いが加わった分だけ、昨日より上げ巾を拡大しました。ただ国際優良株については4半期決算が発表されると、減益になっているものが多く、今日もTDKが減益発表で下げ、松下も発表があれば減益だろうの予想で下げていますから、電気株については円安はプラスになっていないようです。

「デンドラで見る日経平均の波動」にも書きましたが、今日の反発で当面は上昇波動に入ったものの、この上昇波動の前途は多難です。先の高値16371円(終値)を上回る確率は45%であり、逆に16371円に達しないうちに600円〜700円の下げがあれば、このたびの安値14794円(終値)を下抜く確率は70%あるという、危うい上昇波動です。


(98.8.20) 15391円 (−14) 3.5億株



多くの懸念材料のうち世界同時株安が当面遠のいたことによる反発は今日で終ったようです。

円相場もここ連日の口先介入があって堅調です。今日は、皆は失脚したと思っているのに本人は次の次の総裁を目指す山崎前政調会長が「円のターゲットは130円」と発言したとかで、142円台に入りました。よくよく口先介入が好きな人物です。

長銀へ5000億〜1兆円の公的資金を投入して経営基盤を強化し、住友信託との合併を支援すると報道されました。前回の東京三菱以外の銀行へ対する横並びの2000億円の資本投入は、これによって自己資本比率を高め、貸し渋りをなくそうというのが大義名分でしたが、今度は違います。

ひたすら長銀を破綻させないためのもので、前回は劣後ローンの利子や優先株の配当は、財務内容の悪い銀行ほど高めに設定されていましたが、今度は「長銀の配当負担を通常より軽減する」うえ、共同債権買取機構が長銀から買い取る不良債権へ政府保証をつけるとかで、いたれりつくせりです。

この報道で長銀株は前日比+10円高の57円で寄り付き、約3000万株の商いがあって、56円で引けました。長銀が助かるぞの買いと、ここでの売りは最後のチャンスだの売りが3000万株です。モラルハザードが厳しく問われている現在、このまま1兆円の税金を投入して、長銀の経営陣が安泰であるはずはないし、行員も過酷なリストラにあいます。当然に、株主も株価が額面を上回ると期待するのは無理です。限りなく100%に近い減資をして、不良資産を償却し、公的資金の投入というのが素直なコースです。


(98.8.21) 15298円 (−93) 3.5億株


ああやっぱりという感じで大倉商事が2500億の負債を抱えて自己破産する一方で、公的資金の投入を受けて長銀は7500億の不良債権を処理します。

政府は大手19行はつぶさないの既成事実を積み上げるようですが、何を持って「破綻」とするのか、破綻した後の受け皿はブリッジバンク方式でよいのかが争点になっていた国会でしたが、このたびの長銀問題は、まず「破綻ではない」としているのだから、銀行の整理ではないということなのでしょうが、金融監督庁の検査結果がでていないうちから破綻ではないとするのはインチキです。しかも、金融監督庁の検査結果は、影響が甚大なので公表するとは限らないといった話まででるに及んでは、なんのために金融監督庁を作ったのでしょうか。

ともかく大手19行は破綻しそうであれば、破綻前に公的資金を投入することで、銀行はつぶれないということになりました。劣る銀行は淘汰されてしかるべきで、銀行が退場する際に、その影響を極力少なくしようと、この国会で与野党があれこれ知恵を出し合うと理解していましたが、銀行は退場しないのでは、なんのためのブリッジバンク法であったのか。

まず民主党と自由党の怒ろうことか。まともな国会審議がなされるようには思われません。 長銀は+18円高の74円。これを救済合併する住友信託は-8円安の431円。


(98.8.24) 14988円 (−309) 2.9億株


先週末ロシアの金融危機を懸念してドイツ株は史上最大の下げ巾となり、これがNYへ飛び、一時は280ドル安となりました。しかしその後は77ドル安まで戻し、なんとかなったかに見えましたが、今朝はエリツィン大統領が全閣僚の総入れ替えをすると報じられ、日経平均は朝から安く始まりました。

前場では400円安、後場は極端な薄商いとなり、15000円を割ってしまいました。前場の出来高は1.6億株、後場は1.3億株です。ベテランの証券マンが、「閑散に売りなし」というのは昔話で、今は「閑散に売りだけ」だといっていましたが、市場への参加者が少ないときは、先物の動きや裁定がらみの売買が日経平均の動きを加速します。

やはり、市場には雑多な見通しを持って、多くの投資家が参加しないといけません。そのためには情報の公開や取引の公平さは必須のものですが、なかなか道は遠いようです。

ここ1週間ほどの間に、都銀クラスでは50兆〜100兆のデリバティブやスワップ取り引きをしているので、つぶすに潰せない。もし破綻すれば、世界中に金融の大混乱を起こす、という話がでてきました。まあ長銀には公的資金の投入をして支えなければならないという理由付けなのでしょう。

銀行が行うデリバティブやスワップについては、まったく知らないのですが、50兆円というのは、丸代金のことでしょう。実際の投下金額はこの50分の1、100分の1のはずです。日経225オプションを例にとれば、今日のC150(行使価格15000円のコールオプション)の値段は405円ですが、これを買うならば、405円×1000倍=40万5000円です。この金額で15000円の日経平均を1000枚買う(実際の丸代金は1500万円)権利が取得できます。

これを見て1500万円の投資をしていると思うと間違いで、実際はその40分の1の投資でしかありません。どうも銀行が行っているデリバティブの報道については、針小棒大のような気がしてなりません。知らぬと思って、救う以外に手があるのかと恫喝されているような気分です。銀行間のデリバティブについて詳しい方があれば、教えて下さい。


(98.8.25) 15072円 (+84) 3.6億株


欧州・NYが反発し、日経平均も前場は200円方高くなっていましたが、後場からはジリ貧となりました。

9月中間決算を前に、業績予想を下方修正する企業がバラバラと出てきています。今夕には長銀の不良債権の自己査定結果が提示され、明日から長銀の集中審議が始まるなど、買う気を起こさせる環境ではありません。

明日は月内最終売買日です。8月相場へはけっこう強気で、期待していましたが、あにはからんや相場は崩れてしまいした。振り返ってみれば、第1のポイントは8月5日のタクリ足で、この段階では7月13日のザラバ安値15804円を割り込んでいませんでしたから、ここから反発があれば、先の高値16756円を取り返す可能性があると思っていました。しかし3日後の8月10日には75日線を下抜き、同時に7月1日の大陽線(安値15739円)の重要ポイントをも下回り、万事が窮しました。

これによって6月末から75日線の上位で買われた株式はシコリ玉となり、今後は75日線を上抜く際の大きな重しになってしまいました。ここから株価の下落は加速し、8月17日には、ザラバ安値14655円・終値14794円となりました。6月16日の安値14614円をなんとか下抜けることは免 れましたが、第2の重要ポイントである6月18日の安値14825円を終値で下回ったのは、6月16日からの上昇波動の根拠が否定されたことであり、新しい材料がでない限り上昇波動には入れな いことを示しました。

8月3日から8月17日までの下げは陰線10本に陽線1本という、光明が見えない下げで、しかも出来高が少ないという陰湿な下げ方です。このような下げかたをした例はここ3年で3度あり、いずれもひと反発あった後は新安値に陥っているというのも不気味です。いまなおこの不安を持っていますが、この不安を打ち消すには、金融再生についての道筋が国会で明らかにされるのを期待するほかはありません。


(98.8.26) 14866円 (−206) 4.1億株


長銀の自己査定による不良債権が発表されました。第2分類が2兆3800億、第3分類が4400億の合計2兆8000億円でした。従来発表されていた「リスク管理債権」は1兆3700億円でしたから、約2倍の不良資産があるわけです。

この2兆8000億の不良債権の額はとくに驚くべきものではありませんでした。というのは、週刊東洋経済6月27日号(あるいは4月4日号)には、長銀の推定不良債権は2兆7600億と推計してあったからです。ほとんどこの推計は正しいものでした。

自己査定の公表は長銀が初めてですが、東洋経済の推計があっていたことによって、他行の自己査定も予想がつくことになりました。推定不良債権の額自体は銀行の規模によって違ってきますから、問題になるのは、償却しなければならない額と株主資本との関係です。

東洋経済は面白い表をまとめています。まず@推定不良債権の額に、×0.4倍してA推定損失を計算しています。(推定不良債権の40%は貸し倒れと想定)次に推定損失からこれまで積み上げてきた「貸倒れ引当金」を引いて、B償却不足額を計算しています。この不足額を株主資本から手当てしたなら、残る株主資本(C修正株主資本)はいくらになるかを計算しています。

長銀の修正株主資本は1735億円でした。このたびの公的資金の投入は、修正株主資本1735億円すらも残らないということを明らかにしたわけですから、不良債権額に比べて修正株主資本が極端に少なくなくなる銀行は要注意です。

修正株主資本の額が少ない銀行は、@安田信託(-1507億)、A中央信託(-379億)、B東洋信託(360億)、C大和銀(746億)、D日本信託(1079億)、E長銀(1735億)、F日債銀(2971億)、G三井信託(4499億)、H住友信託(6144億)、I三菱信託(8102億)、Jさくら(8558億)ですが、不良債権の額の大小があるので、この順に悪いわけではありません。日本信託などは推定不良債権が1993億しかないのに、修正株主資本は1079億あるのだから立派なものです。


(98.8.27) 14413円 (−452) 5.0億株


ロシア金融市場の大混乱から、欧州市場が下落し、これがNYへ波及。A一方国会は長銀の集中審議で金融再生法案には手付かずの状況。B円安メリットを享受できると思われていた国際優良株も売り上げ単価の下落で、軒並み-50%ほどの業績悪化、とよい材料がありません。

朝から安く始まった日経平均は92年8月の安値(終値)14309円にあとわずかとせまるザラバ安値14378円をつけました。6年間にわたって維持してきた14000円の下値水準でしたが、いよいよ陥落近しです。

92年の終値14309円(ザラバ安値14190円)の底が抜けるとなると、次の下値のメドは、日足や週足ベースでは無理なので月足を掲げます。

まず何事においてもそうですが、悪材料がでたときは、考えられる限りの悪い予想をしがちです。これが理想売りです。その後時間がたつにつれて、多くの場合は、当初予想した最悪の事態にはならないことがわかりますが、現実は悪いことは確かなので、やはり売られます。これが現実売りです。

グラフでいえば理想売りが89年の大天井38915円から92年8月の14190円の下げであり、現実売りは96年6月の22750円から現在にいたる下げです。14000円はまず固い抵抗水準と思っていたのは、現実売りは理想売りほど激しくはないからですが、いまや市場は、最悪のことを考えて理想売りした以上に現実は悪くなったと判断しつつあります。もし14190円を下抜けるなら、次の下値は11288円です。


(98.8.28) 13915円 (−498) 5.6億株


NYは-357ドル下げ(-42%)ました。日経平均は前場-621円安の13792円まで下げ、ここから買い戻しによる反発がありましたが、引け前はまた売られ13915円でした。先物は13740(-700円)で終りましたから、かなりの逆ザヤとなりました。今日のザラバ安値への下げは-4.3%ですから、だいたいNYと同じ率で下げたわけです。

8月はまったくひどい相場になりました。7月31日の16378円から今日の13915円まで、-2463円下げましたが、この要因は@世界同時株安、A金融システム不安、B企業業績の悪化、でしょう。 銀行株がこの下げの大きな原因だと思いがちですが、実はBの企業業績の悪化のほうが下げの原因としては大きいように思われます。

図は7月31日から今日まで、株価下落の大きい上位30を表示しています。 日経平均が2463円下げたということは、日経225銘柄の下げ巾の合計は、この約10倍の24630円ということです。

ソニーは1720円の下げ巾ですが、24630円のうちの約7%を占めています。ソニーが1720円下げたことで、日経平均は172円下げたわけです。4位までは国際優良株であり、この4社の値下がり合計は3580円です。

225銘柄のうち銀行株は8銘柄ありますが、東京三菱467円、三和銀393円、三菱信託368円、住友銀340円が比較的下落巾が大きく、残りは第一勧192円、三信託116円、さくら銀114円、富士銀114円で、8社合計で2104円です。

銀行株の株価が低くなっている現在、日経平均の最も影響力を与えるのは値嵩の国際優良株であり、銀行株の動向に一喜一憂しても始まりません。もはや銀行株はそれほどの勢力ではありません。

国際優良株は、@Bの原因が払拭されないと反発できませんが、連結PERという基準が効く銘柄ですから、どこまでも売られるということはありません。(銀行株は信用リスクがあるのでどこまでも売られることもあり得ます。)

グラフからの下値の目安ですが、2〜3年の期間では昨日いった11288円ですが、当面のメドとしては13344円があります。


(98.8.31) 14107円 (+192) 4.3億株



先週末、NYは-114ドル下げた8051ドル。と世界同時株安の流れを食い止めることができませんでした。ところが今日の日経平均は反発し(香港は大幅安ですが)、どうも今夜のNYへはかなりの好材料を与えました。

さくら銀が3000〜4000億円の緊急増資をすると発表したのが大きく、前場は取引きが停止されていましたが、後場取引きが開始されるや、買い物を集め、3700万株、+28円高の248円で終りました。

三井グループが増資に応じ、さくら銀を支援していくと報道されました。ようやく政府にたよらず、民間の力でなんとかしよう、という気運がでてきました。結構なことです。三井グループの中核の三井物産・三井不動産が増資に応じるのは当然として、トヨタが昔の三井銀にお世話になったお返しをするというのはさすがにトヨタです。

いつもなら企業を支援する銀行が、今回は企業に頭をさげて支援を請うということになりました。さくら銀は企業を再建するために企業に対してビシビシやってきたことを自らに課して、信用を取り戻して欲しいものです。とはいえ3000億や4000億の増資では、焼け石に水のような気もしますが、「民間の力で」というのが今日のキーワードです。この流れが他の銀行へ広がればよいのですが。


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