日経平均をどう見たか・判断したか (98年6月)

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(98.6.1) 15321円 (−349) 3.3億株


NYが8900$割れになったこと、国債利回りが史上最低になったことから、円も再び139円台になったこと、などなどの理由で、先物から崩れてしまいました。

前場は-146円安でしたが、2時、3時になるにつれて100円ずつ値幅を広げ、終ってみれば最近にない-349円安です。日経平均は長大陰線になり、25日線を割り込んでしまいましたから、仕切り直しです。TOPIXは7連続陽線の一番安い値段まで、今日1日で下落しました。この7連続陽線はTOPIXとしては重要ポイントと見るべきもので、明日もTOPIXが下落するようであれば、せっかく25日線を超える上昇も頓挫したとしなければなりません。

個別銘柄もチャートが悪化しました。富士通は高値圏からの大陰線となり、上昇はストップしました。新日鉄・ソニーも調整に入るようです。鹿島建・富士銀はこれから下値を探にいくところです。

日興証が米トラベラーズと全面提携の報道で、日興証は1600万株の出来高で、+46円高の482円。連想で大和証も+23円高の550円。トヨタが株式を買い増すダイハツも+24円高の529円。全般は下がりましたが、株式需給を引き締めるM&A・自社株買い、資本提携のための買い増しなどはこれから急になっていきます。今後は株式の受益証券の面が強くでれば、相場は下落し、支配証券の面が強くでれば、相場は上昇することになりますが、株価が下がるほど、支配証券の面が強くでてきます。日経平均はずるずる下落することはないと思っています。


(98.6.2) 15554円 (+233) 2.9億株


円安が進み、外人売りを懸念する一方で、M&Aや自社株買いなどの需給からは下がりそうもないと考えられ、昨日の大幅下げの流れは続かずに、反発しました。ただし出来高は薄く、先物は140円の逆サヤですから、今日の反発はまだ、円安の悪材料に組するか、需給に組するかを悩んでいる相場です。

日経平均もTOPIXも今日は踏みとどまり、昨日の長大陰線にはらまれました。とりあえずかさにかかって売られることはないことがわかりましたが、自社株買い銘柄の新日鉄・住友鉱とM&Aの日産ディが新高値を出すようにならないと、上昇のきっかけがありません。


5月で決算の発表は終り、いよいよ株主総会です。自社株買いが総会で承認されれば、6月末から本格的な自社株買いが始まります。楽しみです。

日興証とトラベラーズの提携の内容がはっきりしてきました。トラベラーズが25%の筆頭株主になれば、日興証は外資系ということになるのでしょうか。山一はメリルに、日興はトラベラーズに吸い込まれていきます。

日興証の株価が急上昇しているのは、株主にとっては、提携によって日興証は現状を打破でき、望ましいことだ、の判断でしょう。日興証がどのように変わっていくのか、これからの証券営業はどのようになるのか、これも楽しみです。


(98.6.3) 15347円 (−207) 3.5億株


日興証は3300万株の大出来高になり、+40円高の558円。大和証も1800万株できて、+34円高の591円。日興証は5月のザラバ安値373円から、あっという間に50%高になりました。一方野村証は安く、4月安値を更新しようかという動きです。

市場は企業に対して大胆な変化を求めています。個人投資家はバブルが崩壊して9年間のうちに、多くを損切りしてきましたが、ようやく一般企業が半分くらいを損切りをし、最後に金融・保険が損切りをしようとしています。金持ちほど損切りが遅れ、遅れる分だけ今後の新規の買いが後手後手にまわります。

日経平均は昨日はハラミ足になりましたが、今日はザラバで安値を出したので、なお下値がでたとはいえません。ただ9日順位相関が-80になってきましたから、そろそろ反発があってよいところです。TOPIXは昨日のハラミ足に今日はまたはらまれる形になり、日経平均よりも下値が固いようです。もし明日安くなれば「日経平均用'96」で買いマークがつく可能性が大で、どちらにしても目先は反発を期待しています。


(98.6.4) 15426円 (+79) 2.7億株


日興証・大和証はさすがに一服となりましたが、まだまだ評価は決まっていません。市場は小動きとなり、出来高も2.7億株と縮小しました。

今日は沖電気が富士通と合併かの噂がでて大商いになり、+36円高の345円です。その昔、ゼネラルは農協を相手に、こたつや冷蔵庫を販売していて、赤字会社でしたが、富士通ゼネラルになってからは、業績は急向上しました。沖電気も合併されたほうが幸せなのではないか。そういう考えが今日の株高です。

デスクトップ・パソコンのディスプレーが壊れたので、2日前に日本橋に買いにいって、ようやく今日届きました。この3日間は富士通とIBMの2台のディスプレーをとっかえひっかえ付け替えて、実に面倒なことをしてきましたが、これでまともになりました。そのディスプレーですが、今回は三菱電のダイアモンドトロンにしたのですが、以前のものに比べて、非常に明るく、きれいな画面で、実に満足しました。三菱電の株価は318円、F社は1500円ですが、ディスプレーについては三菱電のファンになってしまいました。

ソニーの製品が故障したとき、使い手の自分が悪かったのではないかと思ってしまうほど、ソニーのブランドイメージは高いものがあります。キャノンもそうでしょう。三菱電は前期赤字で株価は低迷していますが、こうして一人のファンが作れるのですから、株価の回復は近いのでは。


(98.6.5) 15323円 (−103) 2.9億株



総見送りです。現物の出来高は2.9億株、先物も17000枚の薄さです。銀行株が売られ、細かなところでは三井埠頭が会社更生法を申請ということでしたが、下げは局地的で、全般は膠着状態です。

これを下値抵抗力がついたと受け止めるのか、嵐(15000円割れ)の前の静けさとみるのか見解が分かれるところですが、この先には6月末からの自社株買いの本格化、8月の減税、16兆円の出動が控えています。私は相場は悪材料には響かなくなったと思っています。

5月の投資主体別売買動向が発表されました。外国人は3月910億・4月3518億・5月4336億円と3か月連続で売り越し、額も大きくなっています。ドル建て日経平均は、2月末が132.3$、3月末が124.8$、4月末118.5$、5月末113.1$と1か月に5$ずつ下がっていますから、売り越しになるのもしかたないところですが、5月は思ったほどの売り越しではなかったと思います。積極的に日本株を売るのであれば、新日鉄やNTTはもっと下げているはずです。

年金運用の金融機関は、外国人と証券会社の自己の売り越しにみあう分だけ買い越しました。 いまのところ年金資金だけが買いの主体ですが、ここへ自社株買いやM&Aの買いが加わり、孤軍奮闘ではなくなってくるでしょうから、月半ばからは少し明るくなるのではないかと思っています。


(98.6.8) 15294円 (−28) 2.5億株


いよいよ動けず、現物の出来高は2.5億株、先物も17000枚となりました。円はとうとう140.62円と一気に140円台に乗せましたが、売り圧力とはなりませんでした。

今日発売の東洋経済の記事(アメリカ株「大乱舞」)に日米の市場の比較(出所はモルガン・スタンレー)がありました。これによると、PBRは米国4.63倍:日本1.85倍。キャッシュフロー倍率は米国15.8倍:日本10.0倍と、資産を基準にしたものでは、日本株は米国株の50〜60%にしか評価されておらず割安です。

一方収益に目を向けると、PERは米国26.6倍:日本43.4倍。利回りは米国1.5%:日本0.9%と、日本株は米国株に比べ50%の割高です。


収益に目を向けてると、日本株はとうてい買うことはできませんが、資産に目を向ければ、米国の半分の評価しかなく、実に割安です。今年の株価は、資産に目を向けるのか、収益に目を向けるのかによって、売り買いの態度が決まりますが、私は資産重視の考えです。

日興証は+51円高の600円になりました。3月戻り高値の550円ないし557円が、トラベラーズとの提携の話がでる前の最高の評価ですから、この30%増しで715円、50%増しで825円あたりが当面の目標ではないかと思っています。

日興証に先行する日産ディは、322円の高値をつけた後も、高値圏でもみあっており、今日で3連続陽線となりましたから、そろそろ322円を突き抜けてくるのでは。

5月18日に、日産ディの株価は250円を基準にして、20%増しなら300円、30%増しなら325円、50%増しなら375円、100%増しなら500円、と目安をつけておきましたが、322円はM&Aの材料以前の高値250円の30%増しの水準ですから、これを上抜けるなら、50%増しの375円が次の目標になります。


(98.6.9) 15530円 (+235) 3.1億株


円は一時141.11円とさらに円安になりましたが、今日は円安メリットのある銘柄が物色され、高値引けになりました。

前場は長銀が売り叩かれ、ザラバ安値140円となりましたが、ここから戻し、167円(-14円安)です。昨年11月の安田信託・12月の富士銀行・今年1月のさくら銀と、銀行株は折りに触れて売り叩かれ、これが他の銘柄へ波及していましたが、いまでは銀行株の急落は相場全般には響きません。

5月28日以来、ザラバ高値は昨日まで8日連続で順次下げてきましたが、9日目にしてザラバ高値が高くなりました。目先の重要ポイントは6月1日の大陰線です。明日以降続伸したとしても、この大陰線の高値15702円を終値で上回るまでは、目先トレンドは上昇に転じたとは判断できません。

目先の重要ポイントは更新するとしても、欲しいのは出来高です。3億株台での上昇ではとうてい本格上昇にはなりません。4億株→4億株→6億株と出来高がふくらんでくれば、先の高値15972円へ挑戦し、これを上回り、中勢の上昇トレンドが確定。と夢は広がりますが、目下のところは出来高が5億6億になる要因は見当たらず、SQを通過するまでは様子見が続きそうです。


(98.6.10) 15339円 (−190) 3.5億株


昨日高くなった円安メリット銘柄に対して利食い売りが出て、前場は100円ほど安くなっていましたが、株香港株が年初来の安値へ急落したとかで、後場になり下げ巾を拡大しました。これにつれて円は一時141.55円と水準を更新。

やはり円安によって利益が拡大するというだけでは、株価上昇の力は限られてしまいます。株価がある程度の水準まであがれば、それで終りです。

株価と収益の関係はPERで測られますが、基本的に収益が10%向上したら、株価も10%上昇するという関係ですから、円安メリットによって収益が向上すると思われる分だけ株価が上昇すれば終りです。これに対して株価と資産の関係はPBRで測られます。日本株のPBRは割安である上に、10%の自社株買いによって、1株資産は10%向上します。今の経済状況下で10%の収益を向上させることは、極めて難しいことですが、1株当たり資産を10%向上させることは容易です。

M&Aと自社株買いを材料にした買いが高まる(出来高が4億を超える)ことを期待するほかはありません。6月26日が株主総会のピークとか。総会が終って、どれだけの自社株買いが実行されるのかが焦点です。


(98.6.11) 15014円 (−325) 4.1億株



1月の売り込みの信用の期日や明日のSQが波乱要因になったにせよ、今日の下げは困ったことになりました。日経平均は5月7日のザラバ安値15020円を下抜き、3月の戻り高値から3段下げに入りました。TOPIXも4月安値の1181ポイントを下抜き、あとは1月安値の1111ポイントが下値にあるだけとなりました。

日経平均は5月末の重要ポイントである長大陰線にはらまれていたものが、今日下に突破したばかりですから、しばらく株価の回復は期待できなくなりました。TOPIXは5月の7連続陽線という強い線を下抜きましたから、これも堰が切れた状況になりました。

この下げはいうまでもなく、円安→アジア通貨安→アジア経済危機→邦銀の不良債権増加→円安のサイクルを意識したものですが、これまで円安はそう相場に響いていなかっただけに、今日は一気にその懸念を相場に反映させたというところです。

ただこの先、なお期待がもてるのは、今日の下げにもかかわらず、日産ディを筆頭とするM&Aないし自社株買いの株価はたいして下げていないこと、先に下落した長銀・第一勧銀などは、買い戻しがはいったようで、タクリ足や陽線をつけだしたことです。銀行株はともかくとして、M&A・自社株買いの火種が残っていれば、6月下旬から7月に期待ができます。


(98.6.12) 15022円 (+8) 8.1億株


NYの円相場が144円台になった上に、NYダウは-159$安の8811$へ大幅下落したため、先物の寄り付きは売り気配となりました。ここへSQがからんで、一時は14784円のザラバ安値。どうなることかと思っていましたが、後場は戻り歩調になり、15000円台に復帰して終りました。

SQに関係する出来高は各社まちまちの推定で、3億・4億・2.2億となっており、実質の出来高は4億〜6億と不明です。もし正味出来高が6億株ということであれば、今日は相当な売りがでて、これを買ったということになり、今日のタクリ足をあわせれば、目先の安値をつけたと見てもよいでしょうが、正味出来高が4億株ということであれば、なお下値を出したとはいえません。

気を重くさせるのは、個別銘柄のチャートが悪化したことです。「日本株売り」が話題になり、日本株の代表を東京三菱とするむきもありますが、私は日本株の代表はNTTと新日鉄だと思っています。そのNTTはまた75日線を割り込んでしまい、新日鉄も75日線まで反落し、すぐの反発は期待薄となりました。とはいえこれから相場上昇の本命だと思っている、日興証は反発、日産ディは高値保合いを継続と、M&A銘柄は堅調ですから、月末からに期待です。


(98.6.15) 14825円 (−197) 3.1億株


97年度のGDPはオイルショック以来23年ぶりのマイナス成長(-0.7%)となりました。すでに予想はされていたことですが、-0.7%は戦後最大とか、個人消費は戦後初の減少とかを報道されると、気分は萎縮します。朝方から安く始まり、ジリジリと値を崩して、15000円割れとなりました。

円が毎日1円のペースで下落しています。このような急ピッチな円安は投機資金によるものが大きいと思いますが、4月の海外株式・債券の買い越し額が3兆3000億円であったと報じられたように、円からドルへのシフトがトレンドとしてあるので、機関投資家の円からの逃避が終るまでは、円安は一服しない様子です。

相場は3月の戻り高値から3段下げ(5波動目)の位置にあります。強気の相場は3段上げの2段下げ、弱気の相場は2段上げの3段下げとしたものですから、3段目の下げに入っている今は、むしろ突っ込んだ銘柄に注目すべき時期です。

突っ込んだ銘柄を検索するのは、いつもHP目次に掲げてあるように、 暴落時には「大底買い吹き値売り」の出番を使えばよいのです。今日現在では、この検索でピックアップされた東証1部銘柄は皆無ですが、昨年末から今年1月にかけて、この検索でどれほど多くの銘柄が抽出され、その後の大反騰になったかは、皆さんがご存じの通りです。しばらくは、この検索をして、ピックアップされる銘柄が10銘柄以上になったときから注意しましょう。


(98.6.16) 14720円 (−104) 4.2億株



NYが-207$安になった上、NY円が146円台になったことから、寄り付きは大幅安となりました。円は朝方146.75円があったものの、昼には142.40円と瞬間的に4円以上の円高方向にぶれ、3時には再び146.12円にもどるという大波乱です。株式相場は円相場をみながら、後場は一時プラスになり、円安への回帰とともに安く終りました。

円相場がこれほど波高く動くのは、円安もそろそろ安値を探り出したと思われます。一瞬のうちに4円以上反対方向に動くのを見ては、安心しての円売りもできなくなったはずです。

この下げを2月〜3月の高値ゾーンの下方シフトであるとするならば、2月安値15932円〜3月高値17352円の1420円巾が高値ゾーンですから、このぶんを2月安値の15932円から下方へシフトして、次のゾーンの安値水準は14512円になります。今日のザラバ安値は14614円でしたから、あと100円ほどです。14512円は12月29日のザラバ安値14488円よりわずかに上位の水準ですから14500円は強く意識される水準です。

逆張り用の「日経平均用'96」は昨日・今日と連続して買いのマークをつけています。円相場がひと段落するようであれば、目先の反発は十分にありえます。このとき出来高がどれほどできるかを注目です。3億台なら再下落、4億台ならまずまず。5億台なら希望。


(98.6.17) 14715円 (−5) 4.0億株


円安は日本にとっては一方的にマイナスということではなく、円安による外需が内需のへこみをカバーする点は評価せねばなりません。この円安によって「トイレに隠れて、思わずニンマリ」するほど利益がでている企業もあります。

むしろこの円安で慌てたのは、株価暴落を怖れる米国と元切り下げを決断せねばならない中国でした。米国はサマーズ財務副長官と連銀総裁を日本に派遣し、円安阻止を協議するとの報道で、円は一時142円台に戻りました。株式市場も自律反発狙いの買いが入りましたが、しかし上伸力はなく、小幅安で終りました。


《カナル・基本》で、円相場のグラフを見ると、2日前から、行き過ぎを表す指標は最高レベルになっています。(レベルは1〜7の7段階あり、今は最高レベルの7=高値波乱圏になっている)

最近で、このレベルになったのは昨年12月でした。この後首相が2兆円の所得税減税を電撃的に発表し、瞬間に円高になりましたが、この円高(図では大陰線)があったことで、レベルは6へ低下し、円安のピークではすでに最高レベルではなくなっていました。

ともあれ円安に加速度がつき、行き過ぎを表す指標が最高レベルを示すようになると、なんらかの円安対策がでてきます。

個別株には下げしぶりを表す足型をだす銘柄がでてきました。むろんこれで底が入ったとは、いまの時点では決められませんが、一方的に売られなくなったということです。HP掲載の銘柄では、住友鉱が「両抱き(真ん中の足が長く、その両サイドに短線がはらまれる)」の足型を出しています。富士通は「はらみ寄せ(長大線に極短線や十字足がはらまれる)」の足型を出しています。


(98.6.18) 15361円 (+646) 7.0億株


昨夜ロンドン市場から日米の円安是正の協調介入があり、ロンドンは137円台。NYでは136円台になり、今朝の日本は一時135円台になりました。NYダウは+164$高の8829$。当然に日本も買い気配から始まり、前場は+647円高。しかし後場は保合いになり終値は前場より1円安い15361円です。

日経新聞によると首相が米国に協調介入を要請するように指示をだしたのは、12日の昼だそうですから、11日の円相場142円をみてからのことになります。11日は株価も325円安した日ですから、140円あたりまでが許容の範囲であったのでしょう。

首相が米国に協調介入をお願いしたため、銀行の不良資産処理を迅速に行うこと、恒久減税を実施することなどを要求され、それらを参院選前に具体化するのでは、の期待が高まりました。株価は久しぶりに派手に上昇しましたが、終ってみると、不良債権問題で売られていた銀行株・商社株の買い戻しと、為替差益ねらいの鉄鋼株やNTTが大きな上げをしただけで、あとは連れ高の印象があります。

銀行の不良資産処理→いよいよ銀行の整理・淘汰の連想で、淘汰されるかもとされる長銀は昨日の下げにもかかわらず反発できず、日債銀も前日比かわらずです。一方銀行が淘汰されれば、ここにぶらさがっているあぶない建設株も一蓮托生と、100円未満の銘柄は上がりませんでした。今日の株価上昇は、1月16日の上げに比べてもスケールは小さく、これをもって上昇開始とはおもわれません。グラフからは先の高値15972円を上回らないことには、相場の反転は確認できません。

1月16日のような大転回をするのは、銀行の整理・淘汰が始まるときでしょう。かつて兵庫銀行をつぶして、他の銀行や地元企業からの出資を募って、みどり銀行を作りましたが、そのみどり銀行も結局は行き詰まりました。今度は政府の出資で日債銀や長銀を吸収する銀行を作る、ということにでもなれば、5000円高も夢ではありません。


(98.6.19) 15267円 (−93) 4.8億株


協調介入はある種のおどしですから、そのときは首をすくめていても、じきに悪さをしてくるものです。当座は145円になったら、おどしがはいるだろうからと、円も落ち着いたようですが、いつまで持つのでしょうか。

ソニーやホンダが輸出でドルを稼いでも、貿易収支は年間では10兆円の黒字までです。一方日本に失望して4月には3兆3000億円の円が流出しました。年間では40兆円のペースです。単純にいえば差し引き30兆円の赤字です。この背景があるのに円の水準を維持しようとするのは大変です。

この未曾有の低金利はいうまでもなく銀行救済が第一です。すでに銀行が企業に融資しない現在では、いくら金利を下げたとしても、設備投資はできません。もう銀行への援助はよいのではないか。金利を2%とかに上げて、預金者に10兆円単位の利子を還元したほうが消費も上向くのではないか。資金の海外流出を防げるのではないか。という意見がでてくるのももっともです。

昨日、たまたまユーザーと、問題のある銀行はこれ以上日本経済に迷惑をかけてはいけない。国が大株主となる平成銀行を作り、ここへ優良資産だけを移し、不良資産は13兆円を使って切ってしまう。

そうなれば、やれ長銀が、日債銀が、さくら銀が、大和銀が、安田信託がどうしたというたびに株価が下落し、さらに他の銀行の経営基盤を悪化させるという、果てしない(果てはありますが)賽の河原の石積みのようなことを断ち切れるのではないか。そういったことを話していました。

後場、日債銀と長銀が合併か?の報道があって、2銀行の株価は上昇しましたが、この報道は否定されました。長銀・日債銀がどうなるのかはわかりませんが、銀行淘汰がいよいよ急になってくるのでしょう。当座は株式市場へショックがでますが、失業率と同じことで、失業率が高くなるほど日本の経済は立ち直っているのですから、ショックのあとは次第に好材料になるのではないかと思います。


さて週足グラフを見ると、時間のサイクルは、来週から来月にかけて転機がやってきます。96年6月高値から昨年97年高値はちょうど1年(53週)でした。今年も6月高値となれば、例年どおりでしたが、今年は最安値圏にあります。53週目は来週です。もう一つは107週(2年)のサイクルがあり、これは来月7月の第2週にやってきます。


(98.6.22) 15309円 (+41) 3.6億株


受け皿銀行構想がどのようなものになるのかが注目されています。いまのところ@破綻した銀行の第1分類の優良債権は他の銀行が譲り受け、第3第4分類の不良債権は預金保険機構が時価で買い取り、第2分類の要注意債権を受け皿銀行が引き受け、一方では回収するとともに追加融資もおこなう、という構想のようです。

しかしA破綻してから処分を決めるのではなくて、問題のある銀行を引き取って一手に以上のことを行う国営銀行を創設するという考えもあるようです。7月8日には受け皿銀行の構想が自民党で決定され、7月末の臨時国会で関連法案を審議する予定だそうです。どのような構想になるにせよ、この1〜2か月で淘汰される銀行が決まってきます。

長銀は-50円ストップ安比例配分の62円になりました。この値段は長銀は消えてなくなるという想定での値段です。市場は第2の拓銀のイメージを抱いているようです。長銀が吸収合併されるのであれば、ここまで株価は下落しないでしょう。今後は長銀の帰趨の予想によって、低位ながら株価は乱高下する可能性があると思われます。

長銀の-44.6%下げに続いて、大和銀(-16.7%)・安田信託(-12.9%)・富士銀(-8.9%)・日債銀(-7.4%)・三井信託(-5.6%)・さくら銀(-4.3%)と銀行の一部が大きく下げたわりには、全般は強調でした。しだいに銀行の淘汰の材料は市場に織り込まれています。さほどのショックはなくなってきました。

今週からさ来週にかけて相場のサイクルは転換期になります。また75日線より上でできた出来高254億株が上値を重くしていますが、今日でその後の累積出来高は219億株になってきましたから、あと1週〜10日くらいで出来高の釣り合いがとれるようになります。


(98.6.23) 15054円 (−254) 4.2億株


受け皿銀行の姿がみえるまでは動けないようすです。ただここで銀行をいくつか淘汰せねば、将来に明るさが出てこないので、いまは銀行株の見切りどきだ。の市場の判断です。出来高上位には、長銀(+9円)5020万株、大和銀(+14円)2720万株、さくら銀(-19円)2030万株、安田信託(-1円)1170万株、富士銀(+5円)690万株と、先行きが心配な銀行がならびました。

銀行株は株式の持ち合いが大きいため、一度値が崩れだすと持ち合い解消売りによってさらに値を崩す方向に向かいます。値段が安くなったからといって銀行株の持ち合い先が買い戻すことは少ないでしょうから、一度沈んだ株価はなかなか戻れません。

グラフからいまの相場を整理しておくと、
  1. 3月の高値17352円から、4月安値15465円・5月安値15020円・6月安値14614円へと3段下げをしてきた。3月からの下げは最終局面にあると考えられる。

  2. 1月に75日線を上抜いて17352円になり、2月末に75日線の15932円まで下げたが、この値幅は1420円であり、この値幅ぶんだけ下方にシフトするなら、下値は14512円になる。先のザラバ安値14614円はほぼこの下値をとった可能性が高い。

  3. 1月に75日線を上抜いてから3月末に再び75日線を下回るまでの累計出来高は254億株あり、この買いは失敗となっているが、その後の出来高累計は223億株になっており、あと20億株ほどで、これにつりあう出来高になる。

  4. 週足では96年6月高値から97年6月高値まで53週の時間であったが、97年6月高値から今週で53週目になる。今度は6月が安値になるようだ。

のようになり、この時期・この値段は買い場さがしが有利です。


(98.6.24) 15123円 (+68) 3.7億株


円は一時141円台になり、協調介入の効果も薄れてきました。銀行の不良債権処理問題は、いまなお意見がでている段階で、どうなるのか姿がみえませんが、政府も今度ばかりは銀行に対して腹をたてている様子なので、意外にドラスティックな処理案が発表されるのではないかと期待しています。

金融監督庁が22日に発足しました。新聞の伝えるところでは、@検査マニュアルを決め、A7〜8行に検査に入り、B8月中旬までに検査報告をまとめ、C不良債権の引き当てができない銀行は、業務改善命令をだしたり、いま決めようとしている受け皿銀行に吸収する。というステップがとられそうです。

@Aは銀行にまかせていた恣意的な不良債権の分類は無視し、統一基準によって不良債権の額をはっきりさせるとともに、不良債権を隠していないかの検査をするわけですから、ようやくにして不良債権の全容がはっきりします。

B については、9月中間決算までに、いけない銀行はなんらかの形で処分するというタイムリミットを設けたといってよく、Cについては、検査によって確定した不良債権の償却ができない銀行は破綻させるつもりでしょう。最初に検査が入った7〜8行はとりあえず売られ、8月の結果によってさらに売られたり、逆に大反発することになるのでしょう。市場はこれでもまどろっこしいという判断ですが、銀行を何行か淘汰させるのですから、拙速ではいけません。

いよいよ株主総会のピークの日が近づきました。自社株買いの決議ができたら、すみやかに実行して欲しいものです。


(98.6.25) 15132円 (+9) 4.2億株


連日長銀・大和銀・さくら銀・日債銀・安田信託の5行が出来高トップテンに顔をだしています。金融監督庁が、まず検査に入る7〜8行のうち5銀行はだいたい決まりのようです。あとは株価の安い順からいえば、日本信託・三井信託・中央信託・あさひ銀・富士銀で10行です。

受け皿銀行は、どうやら宮沢試案のブリッジバンクになるそうですが、このブリッジバンクというのがよくわかりません。日経新聞によると@破綻金融機関の経営陣を総退陣させたうえで、A一時的に国の管理下におき、B不良債権は整理回収銀行に買い取らせ、C健全な借り手への融資は継続する。Dそのうちに他の金融機関に合併させるか売却して淘汰する。ということらしいのですが。

例えば長銀が破綻すると、国が長銀に管理者を派遣し、不良債権の整理をするのでしょうが、このとき長銀という会社はどういう立場になるのでしょうか。倒産なのでしょうか。昔の山一証がしたように、新長銀を作りここに営業権を譲渡するということになるのでしょうか。どちらにせよ株価は1円になりそうで、長銀の株を買うことは甘い期待に終りそうです。

グラフは昨日に比べ1日が経過しただけで、なんらの変化はありません。明日の株主総会を機に自社株買い銘柄がどれほど注目されるのかしないのか。


(98.6.26) 15210円 (+77) 4.2億株


円相場は一時143円台になっていましたが、後場、住友信託が長銀を吸収合併の報道があり、銀行株の買い戻しや、ザラバ安値264円まであったダイエーが330円になるなど、経営不安で売られていた銘柄に買い戻しが入り、高く引けました。これにつれて円も140円台に。

ブリッジバンク適用の第1号になるかと思われた長銀でしたが、なんとか合併によって消滅はまぬがれるようです。長銀は+15円高の73円。住友信託は-20円安の648円。ここで合併を周知させるために売買停止になりましたが、市場は救われた長銀・重荷を背負った住友信託の評価です。

資本金3200億円の長銀が、1800億円の信託銀行に吸収されます。長銀の株主は、消滅するかも知れないと覚悟していたところに、なんとか形は残ることになりました。となるとこれからの問題点は合併比率です。

前期の1株純資産は長銀が274円、住友信託が306円ですから、このままであれば、住友信託1株に対して長銀0.9株の比率になりますが、通常の合併ではありませんから、合併比率は長銀はかなり不利になるのでしょう。

長銀の97年3月期の1株純資産は397円でした。98年3月末に不良債権の償却をしたことによって、1株純資産は120円減りました。

長銀の信用不安は不良債権の償却不足によるものですから、合併前に、第3第4分類の債権を整理回収銀行に売却し、第2分類を今度できる受け皿銀行へ売却し、損失を確定したあとには、いったい1株純資産はいくらになるのでしょうか。100円あるのでしょうか。このあたりは証券会社がすぐに試算すると思いますが、おそらく何10円単位になるのではないかと思います。

もし50円であれば、合併比率は1:0.15です。住友信託の株価が600円なら長銀株は100円です。もし30円であれば、合併比率は1:0.1で、長銀株は60円です。

それにしても、この救済合併は、これまでさんざんしてきた手法であり、これで金融システムが再生とはいきません。ブリッジバンクとやらで、今後の金融界はこうなるとはっきりさせて欲しかったところです。

この手法でよいのかどうかは来週の市場が判定を下しますが、まずだめではないでしょうか。


(98.6.27) 15365円 (+155) 4.0億株


7月2日の受け皿銀行構想の発表までは様子見の態度ながら、小型株のなかには値を飛ばすものがでてきました。長銀はストップ高の103円で寄り付いた後は90円へ下げ、97円で終りました。相方の住友信託は-38円安の610円です。

金融監督庁はお盆までに7〜8行の検査をして、不良資産を明らかにするといっていましたが、今週から長銀に緊急検査に入り、債務超過かどうかを調べるので、長銀の検査で手一杯になり、年内に他行の検査が終了するのは困難とも報道されていました。これでは長銀は決着がつくとしても次々に第二第三の長銀が現れてくることを予想して、市場は強気になれません。

長銀については不明なことだらけです。@普通の合併であるといいながら住友信託は優良債権だけを受け継ぐといい、A長銀は合併前に不良債権を処分すべしといい、B国も13兆円の資金枠を使って合併前に公的資金を追加投入するといっています。拓銀のときは結局は北洋銀行が優良資産を受け継ぎ、拓銀は破綻しましたが、長銀の場合は破綻の話はでず、資本増強のための公的資金の投入が決まっているのは合点がいきません。

ここは金融監督庁が検査し、不良債権額を決定し、債務超過であれば合併はご破算とし長銀はブリッジバンクへ。債務超過でなければ合併し、新会社に資本増強のための公的資金を投入。のルールでなければならないのではないでしょうか。株価的には債務超過のときは1円、合併OKのときは純資産に応じた合併比率で合併するので、たぶん1円〜100円までのあいだになると思われます。

金融監督庁がはっきりした検査基準を打ち出し、不良債権額を確定し、生き残るか破綻かの決定をすることを市場は期待を持って見ています。長銀の検査でどのような基準がでるのか、厳しいのか甘いのか。厳しいほど相場は好感するはずです。


(98.6.30) 15830円 (+464) 5.7億株



円は139.94円(−2.17円)と円高に振れました。恒久減税が、受け皿銀行がといわれましたが、今日の上げは期末のドレッシングが大きな要因であったようです。先物は15650円で終りましたから、日経現物は200円かた高いことになりますが、としても464円高できたということは売り方が躊躇した、ぼんやりと売ることの不安を持ったということでしょう。

日経平均は最も大切な75日線の上にでてきました。TOPIXはもっと顕著で、75日線をスポンと上抜いてしましました。個別銘柄も75日線を上抜くものが続出しました。

モデル波動でも説明しましたが、今日の上昇で、先のザラバ安値14614円は中勢波動の大底の可能性が高くなりました。この後の反落はC点(2番底)を固めるためのもので、歓迎できる下げになりそうです。

デンドラでは終値ベースで15884円を上抜けば、この後反落があっても先の安値を下回る確率は16%程度になりますから、モデル波動のC点で止まるという裏付けになります。あと55円高です。55円高をすれば、この後の相場は強気に対処できます。


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