日経平均をどう見たか・判断したか (98年1月)

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(98.1.5) 14956円 (−301) 1.5億株


薄商いの大発会となりました。年末にはゴルフ界の大手の日東興業が倒産して、今年はバブルの総決算が終り、新たな時代へ向けての再構築が始まることを予感させました。今日の日経夕刊および日経新聞インターネットで有力企業のトップの年頭挨拶を見ると、昨年が政府への規制緩和や構造改革の要望が多かったのに比べ、今年は生き残りをかけた自助努力を社員に訴えたものが多かったようです。他人頼みではよくなりません。政府が、官僚が、と責めるよりもまず自助努力である、というのは昨年に比べて大いなる前進です。

ハザマが一時額面割れになるなど、昨年からの信用リスクを重視しての売り叩きが続いていますが、一方では放送事業に進出と報道された日立や、株式の消却をすると伝えられた富士銀は株価を上昇させました。今年は@株主サイドにたった情報公開をする会社、A収益力を高めるために、ドラスティックなリストラをする会社、B新分野に積極的に進出する企業、C株式を消却して資本の効率性を高める会社、が買われそうです。

円は5年8か月ぶりに132円台になり、海外から日本を見る目はさらに厳しくなっていますが、つぶれるべき企業がつぶれれば、信用リスクを「売る」市場から、投資採算にあう企業を「買う」市場に変る年になるのではないか、と思っています。


(98.1.6) 14896円 (−60) 3.4億株


円は一時134円台にはいりました。円を持っていてもしようがない、必要なのはドルだ、というわけです。日本の輸出の4割はアジア向けですが、円安になってもアジア通貨はその5倍も安くなっているので、これが採算にあわなくなっており、ファンダメンタルを懸念されて、さらなる円安になって行くという悪循環です。

2月3月の株式需給の悪さは誰でもわかることで、これに対する手当てのための先物への売りヘッジが絶えません。今日は終始逆サヤで推移したので、裁定解消売り→現物安となりました。大蔵省は「相場のてこ入れ策」を今夕発表するそうです。日経夕刊によると、@空売りの規制を強化する、A株価操縦のための「風説の流布」の実態調査をし、B証券会社に違反があれば過怠金を課す、などだそうです。この話がでてから株価はザラバで-242円安から+109円高まで上昇しましたが、大引け前には再び先物が売られて結局マイナスで終りました。

8代将軍吉宗は「八木将軍」と呼ばれました。八木(はちぼく)とは米の字を上下に分解して呼んだものですが、吉宗が幕府財政を立て直す際に、最もてこずったのが米相場であり、米価を安定させようとしてさまざまな規制や強制を行ったために、この名で呼ばれたそうです。結局は吉宗でさえも米相場は意のままにならなかったのですが、今日の規制を聞いて、このことを思い出しました。将来が暗ければ、空売りして将来発生する損失を防ぐのは当然のことであるし、情報を公開せねば、あれこれの噂がでるのは当たり前のことですが、小手先で株式市場をなんとかしようという役人の発想にはがっかりします。


(98.1.7) 15038円 (+131) 3.3億株


動きがなくなってきました。12日の通常国会までは材料がなく手持ちぶさたの様子です。グラフからは、株価が上昇トレンドになったかという最低の目安である25日線の水準は15831円であり、なお800円の上昇をせねばなりません。また最近の重要ポイントは12月19日の934円巾の大陰線(高値16104円・安値15170円)であり、目先のトレンドが転換するには16104円を上回ることが必要ですが、これは無理です。最も重視すべき75日線は16633円の水準にありますから、目先どのようにあがいたところで、ここへ達することは不可能です。下降トレンドの向きが変るにはまだまだ時間を要します。

昨年11月に日経平均14000円の攻防 の特集を書きましたが、この時は波動の新安値で4手目でした。今は5手目に入っていますが、目安としている波動の新安値で7手になるには、@この先600円程度の上昇があり、A再反落して6手目に入り、先のザラバ安値14488円を下抜き、B再び600円程度の上昇があり、C反落して7手目になる、という過程を経なければなりません。もしここから600円程度の上昇をするならば、これは@の動きで、反発の目安は25日線の15600〜15800円、重要ポイントの16104円が限界になり、それからAの反落に移るのだろうと思っています。


(98.1.8) 15019円 (−8) 4.8億株


グリーンスパンFRB議長のもとへ榊原財務官は行くは、尾身経企庁長官が駆けつけるは、と動きがあったので、円相場へ日米の協調介入かの予想で、NY円相場は131円に急反発しました。日経平均は前場は15608円の+580円高になりましたが、15600円以上は売り物が多く、前場は+410円高。後場は香港市場が大幅安になり、これを見て新日鉄は-15円安の161円の新安値になるなど株価は一気に値を消しました。

一時580円高から589円下げて完全に「行ってこい」になったため、買い方はショックだったでしょう。しかしながら11月17日の大陽線(拓銀破綻)から12月19日の大陰線(東食倒産)の間の1か月の戻り高値での出来高累計は130億株以上ありますから、16000円以上を望むのは、もとから無理な注文です。


11月に、「この下落が止まるには、@外国人が株式を売り払ってしまうか、A政府が日本への信頼感が戻るようなアピールをするか、B株価が利回り採算にあうまで下げるか、C企業が株式を消却するか、のどれかです。」と書きました。(97年11月分の「日足でみる日経平均」を参照)

@とCはまだまだのようですが、Aについては政府はかなりの努力をし始めました。Bの投資採算ですが、配当利回りの分布図を掲げます。

いまのところ配当利回りの平均値は1.72%、中央値は1.61%になっています。配当利回りが5%以上になる銘柄も21銘柄あります。配当利回り5%は外国を含む他の金融資産に比べても負けない高利回りです。このほとんどが危ない会社ですから、無論買えませんが、これに引きずられている会社の信用リスクがなくなったときは、株価大反騰の1番の原動力になります。 大反騰が開始する目安は、配当利回りの平均値が2.0%を超したくらいか、と思っています。


(98.1.9) 14995円 (−24) 3.9億株



オプションのSQで朝方は売り越しになりました。SQに関係する出来高は3000万株だそうですから、正味3.6億株と薄商いでした。来週の通常国会までは材料不足です。昨年末の金融不安が一段落したら、今年はアジアの通貨・経済の不安が前面にでてきて、株を買う意欲はでてきません。

店頭株は投信の売りで一方的に下げてきましたが、いまや店頭株は連日の反発をしています。株価の大幅下落は買いの意欲をなくし、いっそうの弱気になりがちですが、一方では売られすぎの割安銘柄はないかと投資採算をはじいている投資家もあるわけで、株価が格安になれば敢然と買ってきます。まだ店頭株の上昇は売られすぎの反動でしかありませんが、株価が下がらないことが認知されてくれば、しだいに買い意欲を誘うようになるものです。東証一部銘柄もいずれは店頭株のような動きになることを期待しましょう。昨年末から投資主体別の「個人現金」部門は買い越しになってきているのは、投資採算にのる銘柄が出てきたと判断している証拠です。

読売新聞朝刊では、「資本充実法(仮称)」の骨子が決まったと報道していたので、今日の相場にどれほどのインパクトを与えるのかと期待していましたが、日経はこのことについては一言も報じていず、市場も首相の「2兆円減税がギリギリで、今回限り」の発言や森総務会長の「恒久減税」の発言しか材料にしていませんでした。「資本充実法」は不動産の再評価によって資本を充実させようとするもので、読売によると銀行19行のうちの9行が不動産の再評価をすれば、全体で1.5兆円の資本が増加するとありました。「資本充実法」は追って明らかになると思いますが、金融システム安定のための方策が次々に打ち出されていますから、銀行の売り叩きによる株価下落の不安は薄れていくのでしょう。あとは経済対策です。


(98.1.12) 14664円 (−330) 3.1億株


NY安を受けて先物は売り気配で始まりました。現物は前場-366円安まであり、−189円安で前場を終りました。後場は香港株が大幅下落であったことや、首相の経済演説が予想の範囲であったことから売り直され、大引けは−330円安。終値ベースでは新安値になりました。

グラフを見ても15000円水準から下放れを開始した様相です。ただ14000円を割り込めば、追加の経済対策が打ち出されるのではないか、の怖れもあって積極的には売り込めないので、先物へのヘッジ売りが現物をズルズルと引き下げるということになりそうです。


週末のNYダウは222ドル安(7580$)になりました。アジアの通貨・経済の不安に影響を受けるだろうハイテク株と金融株が下げましたようですが、アダプテック株が−40%の急落をするなど、ハイテク株に陰りがでてきたのであれば、NYも楽観を許しません。

今日のザラバ安値7527$・終値7580$は直前の波動のボトムを下抜き、200日線に達しています。この2か月では、株価が200日線を割り込んだ翌日にはこれを上抜き返していますが、もし今日のNYが続落するようであれば、10月の7200$が下値の目安になってしまいます。当然にソニーなどADR銘柄も下げるので、日経平均も連動して下げることになります。


(98.1.13) 14755円 (+91) 3.8億株


懸念されたNYでしたが、一時は−134$安の7446$まで下げた後、買い戻しが入り、+66$高の7647$で引けました。これを見て日経平均は寄り付き直後に+236円高になりましたが、戻りは売られ、前引けは小幅安。その後は小動きになり、終いは小幅高で終りました。 年末のザラバ安値14488円まであと100円まで迫っていましたが、 TOPIXはザラバ新安値の1111ポイントになっているので、いずれ日経平均もザラバ新安値になるのでしょう。

通常国会が始まっています。野党各党は声を大にして首相退陣を迫っていましたが、3月までは政治の空白はあってはなりません。国会が紛糾すれば大きな下落材料になります。

金融システム安定のための対策は大方出されましたが、今度は株式市場対策が報道され始めました。日経夕刊では、宮沢元首相が豊田経団連会長に「借入金を使った自社株買いを認める」「一般企業が不動産の再評価を選択できる」ことになろうと、見通しを話したとありました。徐々にではありますがよい方向に向かっています。今の株式市場が重大視しているものは、すでに金融不安や倒産のリスクではなく、企業の収益に移りつつあります。


(98.1.14) 15121円 (+366) 4.0億株


今日は株価を支援する材料が多くありました。まずNYは+84$高(7732$)と続騰となり、香港も続伸。円は久しぶりに130円台をつけました。

国内では、首相が来年も減税するかもの含みを持たせた発言をし、日経朝刊では、三和銀が劣後債を導入することを検討の報道があり、日経夕刊では「土地再評価法案」が明らかになったと報じられるなど、目下の懸念されていることがらが解決に向けて前進していることが不安心理を減じました。株価は朝から高く推移し、300円高で伸び悩みましたが、大引け前に買われて久しぶりに366円高です。

海外高を受けて国際優良株が、金融不安の減退を受けて銀行株が高くなりましたが、内需株はまだまだいけません。新日鉄は150円、鹿島建は295円と内需株は売られたままです。これらの銘柄が上昇に転換しない限りは、とうてい本格的な株価上昇にはなりませんが、むこう5日程度の下値はでたようです。反発の目安は25日線の15500〜15600円。重要ポイントの16104円の到達は困難でしょう。25日線を超えたあたりが戻りの壁になって、再反落の可能性が高いように思います。


(98.1.16) 16046円 (+924) 6.9億株



14日に明らかにされた「土地再評価」を大手銀行が一斉に採用する方針であると報道されたことや、98年度の公共事業を前倒しで発注すること、3月にも追加の景気対策をうちだすことなど、次から次に手が打たれたため、下値不安が解消し、先物の買い戻しが急がれました。前場は+550円高でしたが、後場に入ってズンズン上昇し、11月17日の1200円高に次ぐ上昇巾になりました。値上がり銘柄数は1138銘柄、値下がりは78銘柄と全面高です。円相場も128円台へ急伸しました。

昨日は重要ポイントの16104円への到達は困難だろうと述べましたが、あとわずかのところまで戻ってきました。この上昇は@先物のヘッジ売りの買い戻し、A金融不安で売られた銀行株の買い戻し、Bアジア経済危機が当面心配しなくてもよいようだの予想で、素材株の買い、によるものです。ただこの後さらに買われていくかとなると、そうも思いません。

今日の景気対策の追加で、だいたい政府ができることは全部発表していまったようだ、というのが1つ。次に16000円〜17000円の間には130億株のシコリ玉があり、これを突破することは容易ではないこと、3つ目にはまだ期末対策での持ち合い解消の売りは出てくること、Cアジア向け輸出ないしアジア現地での減産の影響はこれからでてくること、など株価の足を引っ張る材料は多く残っています。17100円〜16100円に突っ込んだあたりで当面は頭打ちになる可能性が高いと思っています。


(98.1.19) 16262円 (+215) 6.8億株


先週末の勢いが持続して高寄りしました。前場は+407円高でしたが、ザラバ高値16461円をつけたあとは売り物に押されました。銀行株は売り込まれていただけに大量の買い戻しがされたようで、興銀・第一勧銀・住友信託はストップ高。さくら銀・住友銀・富士銀。三井信託・安田信託は1000万株以上の大出来高となりました。

年末に、2月に日本中が信用の買い建ての期日がくる様子だと言いましたが、このたびの政府の金融システム安定化対策というのは、銀行に対して「あなただけは、差し入れ担保は90%で評価してあげます(土地の時価評価・株式の低価法の不採用)。証拠金がとんで、持ち出しになっても取りたてには行きません(預金者保護に17兆円)。なんだったら、さらに融資しますよ(資本充実に13兆円)。信用期日を伸ばしてもよい(早期是正措置の延期)。」というルール無視・ルール改ざんでした。これで負ける投資家はいません。銀行は日本の特権階級であることがよくわかりました。世界に通用しない保護行政に逆戻りです。

ともあれ日経平均は12月29日のザラバ安値14488円をボトムにして、小勢の上昇波動入りをしました。同時に75日平均線の水準は16375円でしたが、今日のザラバ高値16461円で、ここに達し、昨年8月以来6か月ぶりに最も重要な75日線まで戻りました。また重要ポイントであるとしていた東食倒産の日の高値16104円を終値で上抜きましたから、先の安値14488円は当分は意識する必要はなくなりました。この後は直前の波動のピーク17117円を上回るかどうかが焦点です。これを上回れば中勢で上昇トレンド入りが確認されます。

ただ16000〜17000円には130億株のシコリ玉がありますから、これをすんなり突き抜けるとは考えにくく、いったん反落した後に何度か挑戦することになるのかと思っています。


(98.1.20) 16366円 (+104) 5.6億株


朝方は戻り売りでやや下げましたが、なお先物の買い戻しが入り、先物高が現物への裁定買いを呼び、前場は+155円高。後場は動きが小さくなり、引けは小幅高で終りました。第一勧銀は2日連続ストップ高に続いて大幅高でしたが、その他の都銀株はおおむね安くなりました。大手ゼネコンや商社の買い戻しはなお続いていますが、大手鉄鋼は安くなり、このセクターもだいたい買い戻しが終りのようです。


買い戻しが終った銘柄から順次頭打ちになってきます。売り込まれた銘柄が水準訂正をしたあとは、個々の業績の予想に目がむけられ、80%連結減益の東芝が売られたように、3月期末にむけて、業績予想の下方修正が気にされることになります。

日経平均は75日線を終値でクリアしました。16000円〜17000円のシコリ玉は130億株ありますが、東食倒産の日から今日までの累積出来高は81億株になっています。いましばらく(10日以上)は、先の高値17117円は上抜けそうもなく、株価は一旦は反落するのでしょうが、この後の反落は先の安値14488円より上位の15000円台までですみそうです。

もし15000円を再度割り込むことがあるなら、それはNYの下落に引きずられてでしょう。昨日はNYの立ち会いはありませんでしたが、先週末に2日戻した後で早くも「かぶせ」の陰線になっているのは戻りが弱いことを表しています。


(98.1.21) 16684円 (+317) 7.2億株



NYは好決算があいついだとのことで、119$高と切り返しました。朝刊では加藤幹事長が「景気が悪化すれば、2003年の財政再建目標(財政赤字はGDPの3%以内にする)を延期してでも、追加対策をとるい」と述べたと報じられ、とうとう橋本政権は財政構造改革を棚上げしたのかと、日経平均は朝方から買い物で始まりました。385円高があって前引けは273円高。大引けは317円高と6日連騰となりました。95年12月以来2年ぶりとのこと。

今日の値上がり率上位の銘柄を見ると、@日本レース62%高、A第一家電57%、Bフジタ32%、C第一電31%、D藤和不31%、E東洋建27%、F山水電27%、Gテイカ27%、H国土開27%、I中央紙25、J宮越商25%といった具合で、先日まで信用リスクで売られた銘柄がほとんどです。これら銘柄がすべて生き残るとは思えませんが、日経平均の下値不安が解消するとともに買いの思惑がでてきました。業績をもとに買われている国際優良株は安いものが多く、上昇の原動力は売られた銘柄の買い戻しです。

チャートからは、逆張りの条件表No.2「日経平均用'96」は今日売りマークを出し、TOPIXもあす高ければ売りマークがでます。戻りの当面のピークを出そうとしています。

日経朝刊で「山一の転換社債は全額償還される」とありました。ヤオハン倒産以来、破綻すれば転換社債も紙クズになるという認識でしたが、山一は発行残高2063億円の転換社債は元本に経過利子をプラスして償還するそうです。山一破綻直前には44円90銭の転換社債があったそうですから、これを買っていた投資家は大儲けです。元大手証券会社の矜持でしょうか。立派にケジメをつけました。

と感心していたら、脇に「破綻の阪和銀行が従業員に割り増し退職金」の記事もあり、規定での退職金総額は29億円だが、85億円の割り増し金をつけて114億円の額になるそうです。増加した分は当然に預金保険機構が負担するそうです。さすがに銀行です。消えて当然の銀行です。


(98.1.22) 16405円 (−278) 6.1億株


6連騰をしたこと、75日線を上抜いたこと、NYがIBMの利益伸び悩みから78$安となったこと、などから反落しました。ソニーなど国際優良株は総じて安く、銀行はまちまち、低位株が上げるというのは昨日と同じです。さきの高値17117円を目前にしての足踏みがしばらく続きそうです。

山崎政調会長が「3月末に株価対策を検討」と日経夕刊にありました。まさか国が市場から株式を買い取るということはないでしょうから、自社株消却がやりやすいような手だてを出すのでしょうか。ともかく、なにがなんでも3月末までは株価を維持するの決意のようです。

株価を決める要因は@業績、A金利、B株式の需給、C投資マインドの4つであることは何度も言ってきましたが、昨年来の政府の株価維持の方策は、カラ売りの規制であるとか、株式を原価法で決算してもよいだとか、Bの需給を絞ることに目を向けています。しかし株価を上昇させる最も重要な要因は、企業が利益を上げること、1株あたりの利益を大きくすること、ROEで計られるように資本の効率を高めることです。このあたりのメドがつかない限りは無理に作った株価であり、3月が過ぎれば大きな問題である改正外為法が控えていますから、この反動はきついのでは。


(98.1.23) 16789円 (+383) 6.0億株


3〜4日間の調整は当然と思っていただけに、今日の上昇は意外や意外でした。NYは-63$と続落し、インドネシア・ルピーは1日で20%も暴落し、NECは連結純利益で45%の減益予想となるなど、まず材料としては株安と予想するものが多かったのですが、違いました。

昨年末では500億円の予定であった第三者割り当て増資を1000億に増額すると発表した安田信託は買い気配となり、+28円高の194円で引けました。いまどき増資をして1株当たりの利益を薄めるのは株主の権利を奪うことであり、株価的には悪い材料になるはずですが、破綻することから考えれば好材料になるのでしょう。

銀行株は例の優先株や劣後債を国に引き受けてもらうことで息を吹き返しましたが、既存の株主にとっては、1株利益の減少、ROEの低下などよいことはありません。つぶれるよりはましだろうと、銀行にとって都合のよいことだけを株主にも、国民にも押し付けました。そして株式市場はいまのところはしゃいでいるわけです。株式投資では、好いも悪いもなく、株価を上げる材料か・下げる材料かを判断するだけなのですが、いまの銀行に対する対策は目先好材料、3か月後の悪材料です。

それにしても日経先物の強さはどういうことでしょうか。ヘッジファンドの買いの話もでています。今年の株式の予想では、「前半安の後半高」が大勢を占めていましたが、「3月まで高の後半安」になるのかとも思わせる買いっぷりです。17117円を上回れば、どう思っていようとも強気に転じなければなりません。


(98.1.26) 17073円 (+284) 9.6億株


自民党の政策担当責任者の山崎政調会長は、機関銃のごとく対策を出してきます。「自社株買いの規制緩和は3月末までに法制化する。」これに呼応するかのように、三和・富士などの銀行は次期株主総会で、自社株の買い入れ消却のための定款変更の予定の報道。さらには日曜日の報道2001(フジテレビ)では、個人の考えだがの注釈つきで、「99年度の法人税の実行税率を一気に40%に引き下げる。」の発表をするなど、なにがなんでも3月末には株価18000円をクリアするの決意のようです。法人税まで出して来るとは思いませんでした。これは恒久減税なのですから。


今日発売の東洋経済の特集は「国家総がかりの粉飾決算対策_先送りされる3月危機」でした。まことに、東洋経済のいうとおりですが、政府はこれまでやってきたことの総投げをして、株式市場に最高最大のプレゼントをしています。目先の好材料は確かですが、なかには中期の悪材料も多くあり、これらは次の相場下落の要因になります。

とうとう先のザラバ高値17117円も、終値高値17007円も上抜きました。中勢の上昇トレンドに転換しました。この後の下げは押し目買いになります。これまで一貫して先物が先導して裁定の買いを誘っていましたが、今日は逆サヤになりがちでした。引け前にダレて上ヒゲになりましたが、外人の先物への買いは次から次にはいっているようです。97年4月からの反騰も外人買いがリードしましたが、同じようなことが起こっています。当時のボリンジャーバンドを掲げますが、現在の株価位置は、図の○印のあたりにあるように思えます。


(98.1.27) 16981円 (−91) 9.4億株



現職大蔵官僚が汚職容疑で逮捕されました。野党の追及しだいでは大蔵大臣が辞任せねば、政府が打ち出した盛りだくさんの金融・景気対策の法案が全部国会を通過するか?という事態も考えておかねばならないようですが、相場は一服した程度でほとんど影響を受けていません。強い買い意欲があります。

今日は陽線にはらまれる小陰線になりました。明日続落となれば、ようやく3〜4日の調整となるでしょうが、この上昇局面で買った向きは少なく、おおかたは見ていただけであったでしょう。多くは下がれば買おうと思っているでしょうから、「押し目待ちに押し目なし」となる感触です。

政府は97年3月末の株価は絶対に維持するようです。前期末の日経平均は18003円でしたから、単純な計算では、あと1000円ほどの上値が残っています。ただ多くの金融機関が保有する株式は国際優良株よりも内需株・大型株のほうが多く、期末の株式評価を考えるには、単純平均のほうが重要です。例えばソニーの97年3月末の株価は8650円であり、今日の株価11300円に比べると、2650円ほど下でした。ソニー1社で日経平均を265円かさ上げしています。ソニーを保有しない銀行は、日経平均が18003円になってもまだ評価は前期に比べて下回ります。

97年3月末の単純平均は732円でした。今日は625円ですから、単純平均が昨年3月の水準になるには、あと17%程度の上昇が必要です。同じ割合で日経平均が17%上昇するとなると、19890円になります。グラフから目標値をもとめても19146円〜19746円あたりがでてきますから、この中勢波動の大きな目標は19000円台のせから20000円の手前までを考えておいてもよいでしょう。


(98.1.28) 16973円 (−7) 10.3億株


三塚大蔵大臣が早々の辞任をし、補正予算および減税法案は衆議院を通過しました。汚職事件に関係する第一勧銀・あさひ銀・三和銀・拓銀が家宅捜索されました。第一勧銀はダーティな話題には必ず顔を出します。これによって30兆円の金融システム安定化にかかわる法案の審議は紛糾しそうで、政府の打ち出した対策が全部認められるかには若干の懸念がでてきました。しかし汚職のお陰で見送りになっていた「財政・金融の分離」が息を吹き返したように、「金融危機」をお題目にして、問答無用のなし崩し的な銀行への支援策が、十分に審議されるだろうことはよいことです。

「藤和不が東海銀行から社長を迎える」の報道で、フジタは大丈夫なようだの判断で、信用リスクで売られていた銘柄が暴騰しました。一方国際優良株は安かったので、日経平均はわずかにマイナスでしたが、TOPIXはプラス、単純平均は8円高の634円です。昨年11月から12月にかけての16000円から17000円のゾーンでの出来高累計は130億株で、これが戻りのカサになっていましたが、東食倒産から今日までの出来高累計は130億株になり、17000円の買いシコリ玉はだいたい解消しました。これで再上昇の態勢ができました。


(98.1.29) 17014円 (+40) 7.7億株



NYは100$高の7915$でしたが、あまり響きません。韓国の対外債務は韓国政府が保証して、短期融資を2〜3年物に切り換えることで合意したそうで、これで韓国のデフォルトの心配はなくなりました。このことも相場には影響を与えませんでした。株式市場は空売りの買い戻しと戻り売りの動向だけが焦点になっています。

昨日暴騰したフジタ・青木建などの信用リスク銘柄は、今日は窓あけの陰線になったり、長大陰線をつけたものが多く、大商いであった青木建・フジタ・長谷工などは、戻り高値をだしたようです。

日経平均は今日で3連続陰線になりました。しかもこの3陰線は、当面の戻り高値をつけた1月26日の大陽線にはらまれています。古い証券マンは、今日の「3連続陰線のはらみ」を見て、気をひきしめていることでしょう。図のなかで、大陽線のつけたあくる日から3連続陰線をつけたのは4箇所あります。連続陰線が長大陽線を下抜くか、上抜くかは重要です。@Aは2本目に下抜き、Bは3本目に下抜きました。相場は弱いことがわかります。Cでは3連続陰線は大陽線(高値17763円・安値17184円)にはらまれました。この後上にいくのか下にいくのかが注目点でしたが、翌日の陽線は17687円で終り、上抜くことができず、翌日の陰線は17151円と下抜けてしまい、ここから相場は大下げになりました。

今日の3連続陰線の後は、まず大陽線の高値を上抜けるものと思っていますが、上に抜けるか下に抜けるかをみておきましょう。先の陽線は高値17352円・安値16835円です。


(98.1.30) 16628円 (−386) 7.4億株


信用リスクのある銘柄が昨日から戻りいっぱいとなったため、売りが先行しました。かつ「山一証のとばしは大蔵省の指導」の報道があって、大蔵省への不信感もでて、後場は大幅下落となりました。これで昨日言った大陽線を下回ったので、目先は調整となるようです。上昇巾は14488円から17352円の2864円巾でしたから、1/3押しであれば約900円の下げの16450円あたりがめどになります。半値押しなら1400円下げで16000円です。

今回の上昇の原動力は、倒産リスクが薄れた(と思われる)銘柄の買い戻しでしたが、次の原動力は「株式の消却」になりそうです。今日の日経朝刊で、「自社株買いは34兆円が可能」とありました。自民党の商法改正案では、@資本準備金と利益準備金の合計額から、資本金の1/4を引いた金額を上限として、A資本準備金を財源にして自社株の消却ができる。となっています。つまり準備金は資本金の1/4あればよく、それ以上に資本準備金があれば、株式を買い取り消却できるわけです。

例えば新日鉄の資本金は4195億円、資本準備金は1230億円です。資本金の1/4は1050億です。利益準備金は会社情報では不明ですが、仮に400億円あるとすれば、資本準備金と利益準備金の合計額は1630億円ですから、1630億−1050億=580億円分の自社株消却ができることになります。

キリンの場合は、資本金は1020億円、資本準備金は709億円です。資本金の1/4は255億です。利益準備金は会社情報では不明ですが、仮に400億円あるとすれば、資本準備金と利益準備金の合計額は1109億円ですから、1109億−255億=854億円分が余力ですが、資本準備金以上には自社株消却はできないので、キリンの場合は709億円が消却の限度額です。もし709億円でもって1株1000円で消却するなら、7090万株が市場から消えることになります。キリンの発行株数は10億5000万株ですから、約6.7%の需給改善です。これは大きな大きな株価上昇の力になります。


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