日経平均をどう見たか・判断したか (97年11月)

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(97.11.4) 16500円 (+41) 3.4億株


NY市場は232ドル高の7674ドルまで上昇したので、NYにさや寄せする銘柄が相場を引っ張り、前場は182円高でしたが、後場は裁定の解消売りにおされ、結局41円高でした。いつまで続くかわかりませんが、やっとアジア市場からの影響がなくなりました。また三洋証券の会社更生法申請は、ほとんど影響がありませんでした。相場が落ち着いてきているということでしょう。

となると国内の要因がまた気になってきます。景気の腰折れと、それを証明するであろう来期予想の下方修正が11月初めには、はっきりしてきます。17000円から1000円下げているので、今後の業績悪化の半分くらいは、株価に織り込まれたのではないかと思いますが、予断は許されません。とにかく株価(終値)が重要ポイントの上限17018円を上抜くか、下限の16213円を下抜くかを見届けねば、態度はきめられません。


(97.11.5) 16448円 (−52) 3.4億株


NY市場は小幅高。売買の材料がないため寄り付きからはジリ貧になり、後場寄りでは一時売られましたが、ジワリと戻して小幅安で終りました。値上がり銘柄は350に対して値下がりは780銘柄と、全般はよくありません。大陰線を下回ることなく、今日で5日がたちました。この間に16082円のザラバ安値をつけましたが、終値ではなんとか持ちこたえています。5日間となると、これは一つの実績になります。弱気が大勢を占めるなかで、値を保っているのは公的資金の買い支えだけの理由でしょうか。こういう考えが少しずつ出てくれば、情勢も変ります。

日柄を見ると、ザラバ高値20910円を出した6月26日から今日で90日目であり、終値ベースでの高値20681円を出した6月16日から98日が経過しています。10月末から11月20日ころまでに、この中勢の下げ波動は終るのではないかと思っていますが、重要ポイントの17018円を上回るまでは確認できません。


(97.11.6) 16533円 (+85) 5.0億株


日経平均は小幅高になりましたが、先物は16430円と100円の逆サヤで終りました。値上がり銘柄数は392銘柄、値下がりは755銘柄と、円安に支えられた国際優良株が上昇の一方で、銀行株・証券株が下げ、ここ水準訂正をしてきた低位株にも、持ち合い解消の売りがでるなど、内容はさびしいものがあります。出来高は久しぶりに5億株の大出来高になりましたが、倒産した三洋証券が9700万株できているので、実質は4億株です。

日経平均はなんとか値をもっていますが、どうも目先は弱そうです。もう一度16100円を覗きにいく可能性が高くなりました。というのは、上昇したソニーは、ちょうど75日平均線まで戻って上値でつかえた感じであり、水準訂正をしてきた低位株も9日線や25日線を下回るものがでてきましたから、上昇のリード役が見当たらないからです。上げる要素としては売られた銀行株のリバウンドしかなく、心細いものになりました。


(97.11.7) 15836円 (−697) 5.0億株


日経平均は300円も安くなるのかと昨日は思っていましたが、横浜銀行がむこう2〜3年で簿価6000億円の株式を全面的に売却する、の報道がされたため、「銀行は持ち合い株式を互いに売却しあうのでは?」の観測で大幅下げになりました。ほぼ安値引けです。カラ売りが入っての売りであれば、買い戻しによるリバウンドが反転のきっかけをつくることができますが、持ち合い解消による売り切りでは、株価は下げるばかりで、泥沼になります。

抵抗すると思っていた16100円もあえなく突破されました。いよいよ91年の安値14190円と95年の安値14295円が下値のメドとして現実味を帯びてきましたが、ここより上位の下値のメドとしては15179円があります。おおかたも15200円あたりをまず注目していると思います。

持ち合い解消となると、「受け皿をどうするのか?」が問題です。銀行が互いに「相手が売却したから、うちも売る」と逆花見酒のようなことをやれば、株価は14000円ですむことではありません。ここは是非とも、自分がファイナンスで水脹れにした株式を自分で消却して、責任をとってほしいものです。阪和興業という立派な手本があります。


(97.11.10) 15697円 (−139) 4.3億株


商品先物市場では「余りものに値なし」という言葉がありますが、実に日本株の需給バランスは崩れてしまい、株式=余りものになってしまいました。むかし、みかんが豊作で値段が暴落したとき、農家がこれを廃棄している報道を見て、生産者の無念さの心情を思い、同情しましたが、いまは株式に同じ事が起こっています。

値段を維持しようと思うなら、株式の需給バランスを取るしかありません。そのためには、生産者(会社)が泣きながら、余りもの(株式)を廃棄(消却)するほかはありません。ましてや株式は農作物とは違い、1年ごとに需給が変ることはないのですから、来年の作柄に期待はできません。いまから少しずつ株式を廃棄していかねばしかたがありません。この相場から脱出できるのは、株式に値がなくなる(配当利回りが5%になる)か、消却するかのどちらかです。

10月の 投資主体別売買動向 が発表されましたが、外国人は5900億円の売り越しでした。これは90年2月以来の大幅な売り越し額だそうで、いよいよ外人の日本株への見切り売りが本格的になりました。


(97.11.11) 15867円 (+170) 4.2億株


債券を買って得る「長期金利」と株式に投資して得る「益回り」との差をイールド・スプレッドといい、この差は潜在経済成長率になる、というのは基本事項です。現在の日経公社債インデックスの長期債の利回りは2.26%、株式益回りは1.83%ですから、現在のイールド・スプレッドは2.26−1.83=0.43%ということになります。今年1年の経済成長率だけであればともかく、10年単位でみたときの潜在経済成長率は2%や2.5%はあるでしょう。

とすれば現在のイールド・スプレッドは異常に小さく、株価は過少評価されていることになります。ところが現実の株価は下落の一途で、理論に反する低金利下での株安の動きに合点がいきませんでしたが、「なんだ」今日ようやく気がつきました。

世界の国債の利回りは、米国5.89%、英国6.52%、ドイツ5.63%、フランス5.66%、カナダ5.53%、オーストラリア6.09%です。日本は1.8%。海外金利には、為替リスクがあるとはいえ、4%の金利差があれば、どのような為替リスクのヘッジをしても、日本の1.8%の利回りの2倍以上には運用できるでしょう。

お金はすでに国内で運用せずに、世界で運用する時代になっています。国内金利の水準はイールド・スプレッドにあてはめてはいけなかったのです。世界では5%の利回りになるとすれば、現在のイールド・スプレッドは5.00%−1.83%=3.17%になります。日本の向こう10年の経済成長率を2.5%としても3.17の差は大きすぎ、いまの株価水準でもなお過大評価されています。株式は割高です。

適正なスプレッドになるには、株式益回りは2.5%に上昇する必要があります。株式益回りが1.83%から2.5%になるには、株価はさらに23%程度(日経平均は12100円になる)の下落をせねばなりません。とほうもないことです。少々の減税や経済対策では株価の維持はできません。しかし、打つ手はあります。それは、株式の消却をして株式数を23%減らすことです。株式が減少した分だけ、益回りは向上します。企業はいまこそ株式の消却に真剣にとりくまねばなりません。


(97.11.12) 15434円 (−433) 4.9億株


この下げの原因は第1に外国人の日本株式の見切り売りで、第2に企業が投資効率の悪い株式を売り払っていることにあります。この下落が止まるには、@外国人が株式を売り払ってしまうか、A政府が日本への信頼感が戻るようなアピールをするか、B株価が利回り採算にあうまで下げるか、C企業が株式を消却するか、のどれかです。

@Bの株価が下げて底打ちになるには、10000円〜12000円の水準までの腹をくくらねばならないと思います。ACの努力がなされないままでは、株価の下落にまかすほかはありません。

当面は先物にヘッジの売りが集まり、先物安→現物の解消売り→現物安→先物にヘッジの売り→先物安の悪循環ですが、こうして先物が現物に先駆けて下げ続けていれば、現物を買って・先物を売るという新規の裁定取引きができませんから、裁定解消も次第になくなることでしょう。ここでようやく、悪循環から抜け出すことができます。そのためにはどれほどの株価の下落を見ねばならないことでしょうか。

当面の下値の目安としている15179円・14858円に近づいてきました。もう少しでテクニカル的なリバウンドが期待できます。しかし株価下落の原因が解消されるまでは、トレンドの反転はあり得ず、あたりまえながら弱気です。

ここへ来てまた「取りやすい相場ですね」とか「利益がでた」の連絡が入ってきています。もちろんオプションでですが、例えば、今日の当月限のP155は始値が85円で終値は315円です。ソニーの個別株オプションでも、P10000の45円のものが10日間で800円になったし、P11000の180円が1600円になっています。何を無理して株式(それも買い)に拘泥することがあるのでしょうか。まだ遅くはありません。学びましょう。


(97.11.13) 15427円 (−6) 5.1億株


NYが安かったことやシカゴ先物が15000円割れとなったことや昨日の日経先物が逆サヤであったことなどが重なって、寄り付きは売り気配で始まりましたが、350円安のザラバ安値15083円をつけてから切り返しました。後場は一時170円高の15603円まで戻ったものの引けにかけて売られ、小幅安で終りました。15000円を意識した公的資金が先物に買いをいれ、これを見て利食いの買い戻しが入ったというところです。しかし買い戻しが一巡するとともにマイナスになったのは依然として下落途上にあることを表しています。

いまのところ上昇トレンドに転換したと確認できるためには、10月22日(香港暴落の前日)の高値17694円を上回らねばなりません。この水準は今となっては、はるかかなたに霞む高い高い絶壁です。目先のトレンドが上昇となるためには、11月7日の重要ポイント(高値16464円・安値15823円)を超えねばなりませんが、ここから1000円上げるだけの材料はありません。どころか、外国人のソニー・TDK・京セラなどへの売りはきつくなっています。

週刊ダイヤモンドの今週号に「改正外為法で30兆円の個人資金が海外に流出し、これによって15円〜20円の円安になる」との大和総研の記事がありました。今朝の日経新聞の「2020年からの警鐘」にも1200兆円の個人金融資産の4%は外貨資産に変るだろうとの記事もありました。急激な円安は低成長下の物価上昇をもたらせ、それも大変ですが、30兆の預金が流出する銀行・生保にとっても強烈な痛手になります。このあたりのことを相場が懸念しだしたら、今日の下げ止まりで一安心などとんでもないことです。


(97.11.14) 15082円 (−344) 6.2億株


オプションSQの出来高が9000万株あったそうですから、実質は5.3億株です。大きな出来高になりました。うち山一証が6300万株の大出来高で、セリング・クライマックスとなりました。

日経平均は後場14966円のザラバ安値をつけ、14000円台へ突入の抵抗感をなくしました。これで日経平均はいつでも14000円への下落はできることになります。(ただし目先は1000円近くのリバウンドがあっても不思議ではないと考えています。「《ウェーブ3》は語る」を参考。)

92年・95年に14000円前半の底値をつけましたが、特集として日経平均14000円の攻防 を掲載しています。どのような状況で底打ちしたのか、当時のグラフと現在のグラフを対照していますのでご覧下さい。

驚いたことには、92年95年の2度の底値の日の出来高は1.7億株と2.4億株で、大出来高ができての底打ちではありません。2年3年に一度の大底では、すでに売るべき株式は売り尽くしており、株価は安い水準で、買い手もいないが、売り手もいないという状態になります。今日の大出来高をみると、まだまだ売りたい株式は山ほどあり、これに向かっての買い手もあることを表してします。

92年・95年当時と違うのは、公的資金の存在です。これがかつての株式保有組合・協同証券の役割をはたし、株式総売りの受け皿になっています。しかし公的資金も最近は先物をいじりだしたようで、現物買いの資金が底をつきかけているのではないかの憶測もでています。公的資金が買わなくなり(買えなくなり)、買い手がなくなって、出来高が細ってくれば、ようやく大勢波動での大底圏になったと判断できそうです。


(97.11.17) 16283円 (+1200) 5.7億株


週末、目先は1000円高があっても不思議ではないと書いた後、実は不安になり、こんなことはないことですが、土曜日にCMEの日経225先物値段を見ると、225先物は15350円と日本より310円高で終っていたので、一安心しました。日曜深夜には多くの皆さんと同じように、サッカーの日本VSイランを応援。これが感動的な逆転勝利になったので、明日の相場はこれでプラス300円高、つごう500円から600円は高いと思って出社しました。

朝、「拓銀が経営破綻」のインターネット(日経新聞)を見ました。相場はこれで、「銀行の不良債権処理のために公的資金が導入されるのでは」の期待で、銀行株に強烈な買い戻しが入り、先物はストップ高の1000円高。現物も追随し、大引けにはストップ高の先物を上回る1200円高となりました。SIMEXは16400円で終り、第一勧銀・富士銀・住友銀などはストップ高で、まだ買い戻しの玉が残っているそうですから、明日もこの買い戻しは続けられ、さらに高くなります。

今日の本年最大の長大陽線で、目先は上昇トレンド入りしましたが、この上げは買い戻しによるもので、極めて心理的な要因で起こりました。(サッカーであれほどひたむきな戦いを見せられると、日本もまだ捨てたものではない、がんばろう。と視聴者全員がおおいに勇気づけられました。)

買い戻しが一巡したあとが重要です。今日は元々500〜600円のゲタをはいていたわけで、この株価崩落の原因は何一つ解決していません。住専に対するわずか6000億円の公的資金の導入ですったもんだした経緯がありますから、今の政府がすんなりと公的資金の導入ができるほどの力量をもっているとは思われません。依然として14000円割れへの危機は残っています。


(97.11.18) 16726円 (+443) 6.4億株


続伸となりました。先物は一時ストップ高になりましたが、引けにかけて売られ、750円高です。出来高は6.4億株とふくれました。うち銀行株が1.7億株、証券株が0.5億株あり、銀行・証券で1/3以上の出来高です。この2日間は金融セクターだけの相場でした。

拓銀に対して日銀の特融は初日で6000億円、預金保険機構が拓銀から買い取る不良資産は1兆円以上になると報道されていました。預金保険機構の資金は逼迫するので、公的資金をつぎ込まざるをえないの判断で、昨日の1200円高になったのでしたが、今日のさらなる上昇は、首相が公的資金の投入の含みをもたせた発言をしたのを受けたものです。

公的資金をつぎ込むことになるにしても、これは倒産の処理のためであり、危ない銀行・証券を救うことにはなりません。今日の山一証は前日と同じ108円でしたし、徳陽シティは週末89円だったものが、昨日は72円、今日は64円と新安値になっています。つぶれる金融機関はつぶすが、他へ波及しないように、公的資金が面倒を見るということであり、公的資金によってつぶれない銀行の内容がよくなるわけではありません。自民党は銀行の自己資本を増強するために優先株の買取機構を創設する、と報道されましたが、これは無理でしょう。

株価が2日で1600円も上昇すると、底打ちしたのではないかの気分がでてきましたが、どうもこの2日の上昇は、都合のよい幻想で上げているとしか思われません。株価からは、これまで述べてきたように、香港暴落の前日の高値17694円を上抜くまでは、中勢で上昇トレンドになったとはいえません。日経平均の10本新値足も17619円で陽転しますから、ここまでは下降トレンド下にあるとします。今日の水準は横浜銀行が持ち株を売却する方針の報道がされたときの水準に戻っただけで、今後の公的資金・行革の行方しだいでは、再反落も考えておかねばなりません。


(97.11.19) 15842円 (−884) 6.0億株


投資家は流れを見極めて、流れに乗ることで利益が出るし、流れからはずれたら損失を出さねばなりません。流れによいも悪いもなく、どう流れているかを判断するのが投資家の重大関心事です。

政治家の役目は流れを変えることにあります。あるがままの状態を継続するだけの政治家は不要なばかりか有害です。このような方向に進むべきだ、そのためにはこのようにしなければならない、そういうビジョンがなくしてどうして国民がついて行きますか。

やはりというべきか、首相は「公的資金の導入は言っていない」と否定したため、CMEの日経平均は500円安。これを受けて日経平均は売り気配で始まり、山一証のストップ安で、下げは加速しました。今日で2日間の上げの半値以上の下落となったので、先の14966円は心もとなくなりました。

山一証の株価はすでに死に体を語っています。これが破綻したときは、拓銀や三洋証とは比べものにならないほど海外では知名度がありますから、国内だけの問題ではなくなります。恐いことになってきました。


(97.11.20) 16308円 (+466) 8.3億株


宮沢元首相が橋本首相を訪ね、預金保険機構に政府保証債を発行して金融破綻処理をさせるのはどうかと進言し、首相は党に対策を検討するよう指示する、の報道があって急反発しました。直後は買い戻しから+702円までありましたが、戻り待ちの売り物におされ、結局は+466円高でした。

出来高は8.3億できており、驚きましたが、倒産した拓銀が2.2億、三洋証が1.3千万株、山一証が8.1千万株あり、実質は5.2億株です。また銀行株は3.9億株、証券株は1.1億株の合計5.0億株と2セクターで6割の出来高を占めています。

公的資金の材料は、今日ですでに相場に織り込まれました。具体的な指示がでたにもかかわらず、昨日の下げ巾を取り返すことはできませんでした。生き残る金融機関は同業者の破綻の尻拭いをさせられることから免れることができるのはプラスです。生き残りが確実な東京三菱や住友銀は上昇し、見劣りするさくら銀・富士銀は下げました。不安視される足利銀は連日の大幅下落です。

それにしても政府保証債をどこが引き受けるのでしょうか。やはり銀行・生保になるのでしょう。政府保証債の金利は国債より高いはずですから、政府保証債の購入資金は国債を売ってまかなうなら、国債売却→金利高→企業業績のさらなる悪化、となりますが、どうなのでしょう。よくわかりません。


(97.11.21) 16721円 (+413) 6.0億株


続伸し、公的資金を否定された日の880円安をほぼ埋めました。まだ買い戻しをせねばならない玉が残っていたわけです。11月に入って三洋証の倒産→横浜銀の舌禍→拓銀の倒産と金融不安は拡大しましたが、今日で日経平均は11月初めの水準にもどりました。

いかにも銀行・証券のすべてが勢いよく急上昇したかの感じをあたえますが、11月初めの株価水準に戻った銀行は、拓銀を除く12行のうち東京三菱・住友銀・三和銀の3行だけです。7信託銀行のうち、三菱信託・東洋信託以外の5行もへこんだままです。19行中5行が戻っただけです。公的資金うんぬんで、当面の金融パニックの不安は沈静化しましたが、個々の銀行・証券については、これから株価が冷静に判定していくことになります。

金融不安の回避だけでは、これ以上の株価上昇はできません。銀行は相変わらず不良資産を償却しなければならないし、来年4月からは外為の自由化になるし、その先にはビッグバンを控えているし、問題は山積しています。大和総研のHPのトップページに「株式市場から見た規制緩和の必要性」というよい論評がありました。ご覧下さい。

グラフからは、株価は25日線を上回り、目先は上昇トレンドになっています。次は75日線(今日は17748円)が目標です。75日線は1日に40円程度の低下をしていますから、来週は17600円くらいになります。これは何度も言ってきた香港暴落前の17694円の水準であり、これを上抜くことはかなり難しいと思います。ここまで突っかけることができるのかを注目です。75日線まで戻れば、反落後が楽しみですが、75日線に届かずして反落したときは、年末は大きな期待はできません。


(97.11.23) 臨時コメント


22日の朝6時半ころ、日本テレビを見ていたら、山一証が自主廃業のニュースが報じられ、その後テレビ各社は山一証一色の報道となりました。株価はすでに「ダメだ」の宣告をしていましたが、なんといっても証券4社のひとつであり、日本の高度経済成長とともに株式市場をリードして来た名門企業でしたから、日本中を驚かせました。負債総額は3兆2000億円。連結では6兆7000億円の史上空前の大型倒産です。

24日に自主廃業の結論をだすのは、世界への波及をおそれ、まず日本の株式市場から始めたい。このため連休中にありとあらゆる手段をとり、問題を山一の周辺だけに限定したい。ということでしょう。このため公的資金の導入は当然のムードになりました。

山一はどう処理されていくのでしょうか。「飛ばし」は2000億以上→2300億→2900億と報道されるたびに増加していますが、債務超過にならないのでしょうか。(債務超過になれば、日銀特融ができなくなります。)山一が運用している大量の投信やMMFはどう処分するのでしょうか。まだわからないことが多すぎます。

銀行とは違い、連鎖的な影響はそうないと思いますが、山一破綻は株式市場の1つの象徴であり、証券投資にたいしての失望がでてこないか、同業他社には「飛ばし」はもうないのか、同業他社から預かり資産の引き上げがおこらないか、投資家の行動が気になります。

山一証の事件(というべき)でつくづく思ったのは、@不良資産をかかえる企業は、淘汰が超特急でやってくること、A株式市場は企業の生死を左右するほどの存在になっていること、B情報公開ができない企業は株式市場で息の根を止められること、C含み資産を頼みとする経営はしだいに時流からはずれるであろうこと、D特に銀行は株式の保有は最小限にとどめるであろうと、などです。

25日の株式市場は、政府と日銀の努力で、下げた場合でも1000円の下げがあるか、あるいは逆に上昇するか、だと思いますが、個別企業においては100円以下の企業は@ABの理由で大幅下落する懸念が大いにあります。


(97.11.25) 15867円 (−854) 5.9億株


山一証の破綻で、連休3日間は日本中がこの話題でもちきりになりました。CMEは日本の先週末より600円ほど安かったので、これを起点として日本市場がどこまで下落するかが注目されました。結果は先物が1000円ストップで終り、現物はザラバ安値−947円があって−854円で引けました。山一証が現実に破綻したことで、さらに400円のマイナスに評価したことになります。

今日の売りは@経営が不安視される銀行・証券・建設株への見切り売り、A山一へ融資しているまたは山一株を大量に保有している企業への売り、B山一証が株式を保有している企業の売り、C山一投信が運用している銘柄の売り、でした。このうち、BCの売り圧力は次第になくなっていきます。またAの企業は富士銀・安田信託などに限られます。しかし@がなお大きな問題です。

今日は、危ない銀行として足利銀は連日の急落・徳陽シティは額面割れです。証券は100円以下の銘柄が勧角・山種・コスモ・第一・東京・太平洋・ナショナルとなお不安視される会社がめじろ押しです。さらに一時は再建策をだすなどして水準を訂正していた低位の建設株が再び投げ売りになってきました。

他の業種は今日の下げで最大の加速度は出してしまったようで、一段安があってもジリジリと下げることになりそうです。建設には公的資金の導入はありませんから、建設を震源地とした金融不安が現れる前に、公的資金の導入の枠組みを作っておかねばなりません。


(97.11.26) 16045円 (+178) 6.7億株


徳陽シティが破綻し、いずれなくなる企業は一気に淘汰してしまおうという暴風が吹きまくる市場になりました。過大な不良資産にあえぐ企業は市場から見捨てられようとしています。今日1日で-20%以上下げた銘柄は44銘柄ありますが、うちわけは建設14、商社4、流通4、金融11、証券3、不動産3です。

特に銀行に対する売り圧力はものすごいもので、大和銀(180→130円)・長銀(276→196円)・広島銀(261→181円)・三井信託(247→167円)・安田信託(129→79円)とパニック状態。出来高は6.7億株と大出来高ですが、出来高上位10社のすべては金融・証券・建設の投げ売りによるものです。いけないものは徹底的に売りまくる市場は冷酷です。

すでに100円未満の銘柄は50銘柄ほどあり、これら銘柄が20円30円下げて、大きな下落率をつけても、日経平均には2円3円のマイナスでしかなくなってきています。日経平均は上昇しましたが、局地的には大地震がおきており、今年中には死屍累々となるのでしょう。無情(無常)を感じざるを得ません。この悲惨な状況はいっそうの消費冷え込みにつながり、景気はますます悪化となります。


(97.11.27) 16603円 (+557) 12.2億株


「自民党は公的資金の導入の具体策を12月10日をメドにまとめる」の報道や、蔵相の「これ以上の金融機関の破綻はない」の発言で、昨日売り込まれた金融・建設株の買い戻しがはいり、前場は+290円、後場も先物高が、裁定の買いを誘い、大幅上昇となりました。蔵相は「これ以上の破綻はない」と言いましたが、安田信託は一時額面割れの49円があって、引けは79円。日債銀も前日比変わらずの99円となお火種は消えていません。

出来高は12.2億と大きなものになりました。うち山一証が4億7000万株、拓銀が3500万株あるので、実質は7.2億株です。これとても整理ポストを除く出来高上位10社のうち9社は銀行(安田信託6800万・富士銀3000万・三井信託3000万・大和証2800万・大和銀2800万・長銀2300万・さくら1800万・日興証940万)であり、ざっと見ただけでも金融・証券で3億以上できています。この出来高で金融セクターの買い戻しのほとんどは出たのではないかと思われます。

買い戻しが終れば、改めて厳しい現実に目をむけざるを得なくなります。11月の新車販売台数は前年比で20%以上の減少(23年ぶり)と報じられましたが、ホンダは史上最高値をつけました。ホンダは世界が相手の商売であり、円安のメリットもありますが、多くの企業の商売の主力は国内であり、GDPの60%を占める個人消費が歴史的な冷え込みになっていることは、次第に株価に効いてきます。12月も厳しくなりそうです。


(97.11.28) 16636円 (+33) 7.1億株


前日に引き続いて銀行・証券に買い戻しが入り、大和銀・足利銀・紀陽銀はストップ高。加えて保険がさらなる上昇をしましたが、ザラバで182円高をピークとして、大引けにかけてはだれました。金融不安は沈静化したので、これからは株価を決定する要因に目が向くことになります。

株価水準を決定するのは@業績、A金利、B需給、C投資マインドの4つの要因ですが、いったいこれから先株価が上昇する要素があるのだろうか、と考えると悲観的になります。

@の業績ですが、昨日の新車販売台数が前年比で−20%もへこんだように、さらに悪化しています。

A 金利は金融不安もあって史上最低の水準ですが、安い金利を嫌って株式を買うという動きはでてきません。むしろ来年の改正外為法で、国内の預金を引き出して、外国銀行へ預け入れたり、外債を買う動きがでてきます。大和総研の試算では30兆円になるとありました。拓銀の預金が1兆円とか2兆円引き出されて、破綻したのですから、銀行・生保はよほど対策を練っておかねば、再度の金融不安になりかねません。

B 需給は何年もバランスがとれないでしょう。今回の金融不安で銀行株がすさまじく下落することを体験しました。銀行株を持っている企業は、辛苦努力してプラスにした利益が、株式の評価損によって簡単にマイナスになることには耐えられない思いをしています。子会社の株式以外の株式は機会があるごと売り払ってしまおうという流れになりそうです。これは銀行にとっても同じことで、含み依存から抜け出すには、どこかで損切りになっても保有株を売らなければ、金融不安の根は断ち切れません。

C 投資マインドは、買いについては起きようもありません。株式をもっている99%の投資家は含み損を抱えたままで、新規に購入する余裕はありません。

来年の3月末までは警戒すべき材料ばかりが目立ちます。


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